15歳で女優デビュー 30代迎えた桜庭ななみが描く理想の座長像は鈴木亮平 「視野を広げ周囲の気持ちをより理解できるように」
近年、さまざまな役柄に挑戦し新たな一面を見せ続けている女優の桜庭ななみ。最新作映画『傲慢と善良』では、友達を思うが故に、本音をズバズバ言う強め女性を演じている。「すごくチャレンジングな役柄で、大きなきっかけになったらいいな」と語った桜庭が、30代に突入した「これから」とは。 【写真】凛としたたたずまいが美しい桜庭ななみ ■ “強め”な女性を演じ「何か大きなきっかけになれば」 15歳で女優デビューした桜庭。18歳で巡り合った映画『最後の忠臣蔵』『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』では、爽やかな佇まいや瑞々しい演技で、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の映画賞を受賞し高い評価を得た。 その後も、さまざまな映画やドラマに出演してきたが、20代後半には、持ち前の爽やかなイメージを活かした役柄から、ジョン・ウー監督の映画『マンハント』(2017年)では活動的なキャラクターを、さらに『焼肉ドラゴン』(2018年)では、プロの歌手を夢見る勝気な三女・美花を演じ大立ち回りを見せるなど、役柄の幅を広げていった。 両作品ともアジアで高い評価を受け、映画祭で流ちょうな中国語や韓国語を話す姿も話題になったが、30代に突入し、映画『傲慢と善良』では、本人曰く「これまでやったことがないような強めなキャラ」に挑んだ。 桜庭が演じた美奈子は、藤ヶ谷太輔演じる主人公・架の友人。仕事も恋もイケイケだった架が、失恋によって婚活アプリで出会った真実(奈緒)との結婚に躊躇している姿を見て、女性らしい直球の意見をズバズバと言う女性だ。 桜庭は「原作を読んでいても、美奈子って強い女の子で自分の意見を押しつける感じが『あ、嫌だな』と思われてしまうかもしれない」というイメージがあったというが「しっかりと向き合ってみると、架のことを友人として大切に思っているがゆえの発言。自分の意見を強く言うので“傲慢”なのかと思いきや“善良”なんじゃないかなと思うんです」と共感できる部分が多かったという。 今回の美奈子という役について「また何か大きなきっかけになったらいいな」と期待を寄せる。これまでもいろいろな役に挑戦してきたが「強めな役にチャレンジする機会は増えてきましたが、これまでは、最終的にはいい人に着地する役でした。美奈子も理解できる部分が多かったのですが、口調の厳しさなど新しい一面が見せられたのかも」と語る。 ■ 30代になり「もっと役の幅を広げたい」 30歳を超えてから「こういう役をやってみたいんです」と提案する機会が増えてきたという桜庭。そこには「もっと役の幅を広げたい」という思いが強く芽生えるようになってきたという。 「10代、20代のときは『自分の持っているものを全部出すしかない』とがむしゃらに向き合っていたのですが、15~16年とお仕事をしていくなかで、持っているものを出すにも、自分の中身がなければやっていけないんだ……と思うようになったんです」 演じるという仕事をするうえで、よりアンテナを張って人の感情に向き合う。さらに自分のなかに貯めたものをどうアウトプットするか……という表現力にも磨きをかける必要がある。だからこそ、どんどんいろいろな役柄に挑戦したいという思いが芽生えてきた。 2023年には結婚もした。プライベートの充実も、役を演じるうえで大きなことだったのだろうか――。 「その部分に関してはあまり変わっていないんですよね。お仕事への意欲は強いのですが、だからこそプライベートはどちらかというとのんびりした感じで……。ある意味で充実していないといえばしていないのかもしれません(笑)」 ■理想の座長像は鈴木亮平! もともと目の前のことに集中しすぎてしまうきらいがあるという桜庭。「自分のことで結構いっぱいいっぱいになってしまう」と笑うと、主演作などで“座長”として現場に入ることが「一番苦手なんです」と笑う。 そんなところも30代になって「変化」していきたいところだという。圧倒的な座長の立ち振る舞に触れたのが大河ドラマ『西郷どん』(2018年)で共演した鈴木亮平。本作で桜庭は鈴木扮する西郷吉之助(のちの隆盛)の妹・琴を演じた。 「現場でも、めちゃくちゃ皆さんに声を掛けていて。私のプライベートでのくだらない話とかも聞いてくださって『最近、こんなもの見ているんですよ』と話すと、忙しいはずなのに『観たよ。こんなストーリーなんだね』って。本当にどんな方にも気配りができて、すごい方だなと思いました」 目標となる先輩の姿だが「亮平さんみたになれたらいいですけれど、まだまだ自分のことで精いっぱいで」と謙遜。「30代はやっぱりもっと視野を広げて周りのことが見えるようにしていきたいです」と目標を述べていた。 『傲慢と善良』という作品。桜庭にとっての「傲慢」と「善良」とは――。 「先ほども話しましたが、やっぱりどうしても物事に入ってしまうと、周囲が見えなくなってしまうので、そういう部分が傲慢なのかなと。そのなかで、もっと周りの人のことを考えて、より気持ちを理解できるような、善良な人間になりたいです」 映画『傲慢と善良』は9月27日より全国ロードショー (まいどなニュース特約・磯部 正和)
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