阪神近本光司（2024年6月26日撮影）

　セ・リーグは、どのチームが抜け出すか、脱落するかが分からない状況に陥っている。まだまだ先行きは不透明で、ちょっとした連勝、連敗で順位が入れ替わる波乱含みの戦いだ。 　阪神にとって混戦の壁を乗り越える条件が得点力アップであるのは、誰が見ても明らかだ。中でも近本光司、中野拓夢の1、2番コンビが、いかに出塁するかがカギを握ってくる。 　本来は打率2割7、8分は残せるはずが、現状では2人とも低調で役割を果たせていない。大山、佐藤輝が復帰し、前川の働きが目立ってきたから、ここからは1、2番が出塁率を上げることだ。 　特に近本は、交流戦で4番に入ったことで、本人の感覚は分からないが、無意識のうちに長打を意識したことで調子を崩したのではないだろうか。 　私にも経験があるが、1、2番タイプのバッターが長打を狙いすぎると振りが大きくなって、本来の姿を見失いがちだ。あくまでも「ヒットの延長が長打」という考えで、甘いストレートも強引に引っ張るのではなく、センター中心に打っていくことを心がけてほしい。 　とにかく1、2番のパフォーマンスが得点力を上げる早道だろう。そして、これはチーム全体に言えることだが、単打でも四球でも、後ろの打者を信じて、つなぐ意識を再確認したいものだ。 　またノイジーの2軍落ちを決断し、見切りをつけたのは理解ができる。まったく外国人としての数字をクリアしていない。今シーズンはもちろん、将来を考えて若手起用に踏み切るのは賛成だ。 　そして、球団としても優勝するためには、今からでも新外国人獲得に動くべきではないだろうか。（日刊スポーツ評論家）