第93回選抜高校野球 大阪桐蔭 日本一へ、心身鍛錬 一冬越え、投打に磨き /大阪
<センバツ2021> ◇昨秋敗戦、奈良・智弁学園と 22日 第93回選抜高校野球大会は19日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。2年連続12回目選出で4回目の優勝を目指す大阪桐蔭(大東市)は投打で技量が高く、特に足を使った攻撃ができるのが特徴だ。昨秋の近畿地区大会決勝で敗れた智弁学園(奈良)と対戦する22日の1回戦が、まず大きな関門となる。【荻野公一】 2月23日、組み合わせ抽選会で初戦が智弁学園と決まった瞬間、苦笑いした池田陵真主将(3年)はチームメートから「いいところを引いて来たな」と言われたという。秋に負けている相手であり、気持ちの照準を明確にすることができるとナインは前向きに捉えた。 今チームは西谷浩一監督から「体から熱さが出ている、熱すぎるくらい」と表現される池田主将を中心に、気持ちを前面に出す。昨秋の公式戦でも「大阪桐蔭」の看板を背負って相手に構えるのではなく、ベンチから大きな声で鼓舞する選手の姿が目を引いた。西谷監督は「池田主将から伝わっていると思うが、跳ねっ返りのある非常に気のあるチーム」と評する。 投手は、左腕の松浦慶斗投手(同)を軸に速球派の右腕・関戸康介投手(同)らが控えて層が厚い。松浦投手は昨秋の公式戦で相手打者の手元で球が弱いことを痛感した。ブルペンでは捕手を10メートルほど後ろに下げて立ち投げをするほか、「変化球で攻める」を意識してフォーム改善にも取り組んできた。一方、関戸投手は指の骨折などけがに苦しんだが球は一級品で、センバツでは「松浦だけでは勝てない。松浦を楽に投げさせるためにも自分の投球が大事」と昨秋の悔しさをぶつける。 打線は穴がない。打つか、打たないかではなく、「内野安打でチームが乗る。足はチームの武器なので自分が引っ張りたい」と話すのは50メートル5秒台の俊足、野間翔一郎選手(同)。野間選手をはじめ、今季は打順に関係なく走力を使えるのが魅力で3番・宮下隼輔選手(同)、4番・池田主将の中軸に限らず、どこからでも攻撃の起点をつくることができる。 近畿大会で智弁学園に敗れた後、西谷監督は「劣勢の時の粘り強さが歴代と比べると足りない」と選手に厳しい言葉を使った。選手も素直に受け止め、池田主将は「一冬で最後までやり切る粘り強さを全員で付けようとやってきた」と話す。全寮制の大阪桐蔭はベンチ入り18人のうち、大阪の中学校出身者は5人。全国各地から集まる選手は目標は「日本一」と口をそろえる。初戦の智弁学園戦。冬場を乗り越えた成果が表れる試合となる。