松本人志、ビートたけしとの「芸人の器」の差が明らかに… “サンドバッグにされる会見”の重要性
謝罪したのに炎上しがちな吉本関係者たち……芸人の自主性を尊重する社風はリスクマネジメントを手薄に?
2011年の島田紳助さん引退会見では、紳助さんがセーフと思っていたラインは実はアウトだと、吉本興業からいさめられたというやり取りが明かされた。タレントはともかく、事務所はまともだという体裁を保つことには一役買ったのではないだろうか。ただ一方で、個人主義・実力主義の芸人の感覚を尊重して介入しないスタンスが、裏目に出たケースともいえる。ここ最近を振り返っても、吉本関係者はどこか独善的な謝罪に陥ることが多く、会社としてのリスクマネジメントがなっていないように見えるのだ。 2019年に3年間で1億円に上る申告漏れを指摘されたチュートリアル・徳井義実さんは、「想像を絶するルーズさ」による過失だと強調したが、それ以前からも申告漏れがあったことが明らかに。同年の闇営業問題では涙ながらに会見した宮迫博之さんが、後輩の舞台復帰前日にYouTubeデビューをぶつけ総スカンを食らった。さらには当時の社長まで、芸人に対する恫喝を告発され、まさかの大炎上。つい最近では、ジャングルポケットの斉藤慎二さん自身が書類送検されたことに関して沈黙を貫くも、妻の瀬戸サオリさんがすぐにSNSで事件性を否定したことが物議を醸した。 吉本興業は3月に過去最大規模のコンプライアンス研修を開き、「常に時代に寄り添って110年歩んできた会社」と豪語していた。研修内では、タレントの言葉の影響力と怖さを語っていた岡本昭彦社長だが、人気芸人たちの発言力で時代を寄り添わせてきたほころびが、今になって出始めていると捉えた方がいいのではないか。たけしさんのように、一人矢面に立って記者会見でたたかれまくるのは相当つらいが、「あんなに肩で風切ってたのに、会見から逃げるなんてずいぶんダサい人になっちゃったな」と思われ続ける方が、芸人にとっては致命傷では。お節介だが「ごっつええ感じ」世代の一人としては、ついそう思ってしまうのである。 冨士海ネコ(ライター) デイリー新潮編集部
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