試練再び 「守りたい」兵庫北部の文化の拠点 豊岡劇場 映写機の交換時期←クラファンで支援募る
兵庫県豊岡市にある映画館、豊岡劇場(豊岡市元町)が、新たな映写機を導入するためにクラウドファンディングを立ち上げました。施設の現状や、クラファン実施の背景、現場に届いている“声”などについて、担当者に話を聞きました。 【写真】豊岡劇場の内部のようす 1927(昭和2)年に芝居小屋として開業した豊岡劇場は、2012(平成24)年に一度閉館。2014(平成26)年に復活すると、コロナ禍の2022(令和4)年8月に一時休館を余儀なくされますが、翌年の2023(令和5)年3月に新たな運営主体のもとで営業を再開。“兵庫北部唯一のミニシアター”として地元住民からも愛されています。 このたび、同館がクラファンをスタートするきっかけは、2014年ごろから導入していた2台のデジタル映写機のサポート期間にありました。 2026(令和8)年5月末でサポート期間が終了してしまうことから、営業を継続していくためにも期限までに映写機を交換する必要にせまられているのですが、現状、運営主体のみでの多額の資金の捻出は困難な状況です。 「閉館することも視野に入れて、スタッフと2年間話し合いを重ねました。その中で、“次の10年を迎えたい”という思いが強くなり、クラファンを立ち上げることとなりました」。そう話すのは、豊岡劇場を運営する一般社団法人豊岡コミュニティシネマの代表理事・田中亜衣子さんです。 豊岡劇場は、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)が行っている「ミニシアター支援プロジェクト #ミニシアターへ行こう」に参加し、昨年(2024年)11月28日からプロジェクトを開始。今回の目標金額を850万円に設定していますが、田中さんは「このような高額なクラファンが豊岡の地で行われたことは、数えるほどしかないと思うので……達成することができるか正直不安です」と、率直な気持ちを吐露します。 今のところ支援者はスタッフの知り合いが半分を占めているようですが、なかには映画ファンや、劇場を愛している人も参加。さらに、田中さんのもとには多くの“声”が届いているそうで、「『豊岡から映画の火が消えないように応援しています』『いつまでも楽しい空間を守っていきたいです』などのメッセージが励みになっています」と、涙ながらに感謝を述べました。リターンも、豊岡劇場オリジナルグッズや、貸切鑑賞ができる権利など、“兵庫北部唯一のミニシアター”ならではのユニークなものが揃います。 「『豊劇』は古くから立っている大木のような存在で、そこに“映画”という実が成っています。これからも映画や文化が行き交う場所として守り続けていきたい」と、地域の文化的拠点として残すべく、同館の存続に強い思いを込めた田中さん。ゆくゆくは「映画祭を開催したい! 」という夢もあるなか、「豊岡劇場を楽しみ、支え合う仲間に一人でも多くの方がなっていただけたらうれしい」とクラファンでの後押しを呼びかけていました。 豊岡劇場の新映写機導入プロジェクトに関するクラファンは、2月28日(金)まで実施されています。 (取材・文=長塚花佳) ※ラジオ関西『Clip』水曜日 「トコトン兵庫」より (2025年1月8日放送回)
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