西武は今オフに大量の戦力外か 今川優馬、中村奨成を「補強すべき」の声 渡辺久信GMでも貧打深刻
一方で20代の若手、中堅が伸び悩んでいる西武は、今年41歳を迎えるベテランの中村剛也、栗山巧が中軸で起用されている。両選手はチームを象徴するレジェンドだが、全盛期に比べると力の衰えは否めない。中村剛は今季打率.195、7本塁打、14打点。栗山も打率.218、0本塁打、3打点で4月下旬には19年ぶりに打撃不振でファーム降格を味わった。 「中村剛、栗山がクリーンアップを打っている今の状況が異常です。彼らに掛かる負担を軽減させたいが、突き上げてくる選手がなかなか出てこない。選手を育てるためには我慢強く起用する期間が必要ですが、25歳を過ぎるとある程度、伸びしろに見当がつく。厳しい言い方をすると、今の西武の外野陣で起用し続ける価値があるのは岸、蛭間、長谷川ぐらい。チームを作り直すためには、大量の戦力外も含めて大幅なテコ入れが必要だと思います」(民放テレビ関係者) ■西武から減った“フルスイング選手” 西武を長年取材する記者は、「獲得する選手が小粒になった」と指摘する。 「現役時代の松井稼頭央さん、中村剛を筆頭に浅村栄斗(楽天)、森友哉(現オリックス)、山川穂高(現ソフトバンク)とフルスイングが魅力の選手が多かったが、近年のドラフト指名は器用で小回りが利くタイプの野手が多い。ドラフト1位で長距離砲として期待された渡部も入団以降は小さくまとまってしまった印象があります。長打力が魅力な選手は高卒4年目の山村崇嘉、昨年のドラフト6位の村田怜音ぐらいですかね。今秋以降のドラフトでは多少粗削りでもバットを振れる選手を獲得してほしいです」 チームの再建策は新人ドラフトだけではない。ソフトバンクのように豊富な資金力で他球団の主力選手をFAで補強するというのは現実的ではないが、他球団で力を発揮できず、くすぶっている「金の卵」はいる。
移籍してブレークした筆頭格が、DeNAから現役ドラフトで22年オフに中日に移籍した細川成也だ。移籍1年目の昨年は自己最多の24本塁打、78打点をマーク。今季も4番で打率.292、8本塁打、30打点と打撃3部門でトップ5以内に入っている。 また、ソフトバンクから昨オフに日本ハムへ移籍した水谷も打率.376、3本塁打、16打点と活躍。交流戦では歴代最高打率.438をマークし、得点圏打率.615と圧巻の勝負強さを誇る。ソフトバンクでは厚い選手層に阻まれ、プロ5年間で1軍出場なしに終わったが、環境を変えて覚醒した。 ■きっかけつかめば1軍ブレークも トレードという選択肢もある。日本ハムの郡司、ロッテの石川慎吾、中日の宇佐見真吾は新天地で活躍している成功例だ。 前出のスポーツ紙デスクは力説する。 「ファームにいる選手でもきっかけをつかめば、1軍でブレークする選手は少なくありません。巨人の松原聖弥(29)、増田陸(24)、広島の中村奨成(25)、DeNAの知野直人(25)、中日の石垣雅海(25)、ソフトバンクのリチャード(25)、日本ハムの今川優馬(27)はチーム事情もあり出場機会が少ないが、持っている能力は高い。特に今川、中村は西武に移籍すれば外野のレギュラーをつかむ可能性を持っている選手です。相手球団と交換要員との折り合いがありますが、獲得を検討する価値はあると思います」 チーム再建は一朝一夕で進まない。シーズンの戦いは続いている。常勝軍団復活に向け、無駄な試合は1つもない。選手たちは意地を見せてほしい。 (今川秀悟)
今川秀悟