ユーロ圏インフレ率、ECB目標の2%を下回る-利下げ後押し
(ブルームバーグ): ユーロ圏のインフレ率は、欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を2021年以降初めて下回った。従来見込まれたよりも速いペースで金利が引き下げられるとの見方を強めそうだ。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が1日発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.8%上昇で、前月の2.2%上昇から低下した。エネルギーコストの大幅下落が寄与した。
食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除くコアインフレ率も2.7%に低下。9月の数値は総合、コアともブルームバーグが調査したエコノミスト予想に一致した。
景気低迷と予想外に急速に進行するディスインフレを踏まえ、ECBは金融緩和を急ぐべきだとの見解が投資家の間で広がっており、今回のインフレ統計で投資家はその確信を深めるだろう。
ラガルド総裁は9月30日に欧州議会で、政策委員会はインフレ抑制に対する楽観を強めていると説明し、10月17日の政策判断でそれを考慮に入れると明言した。
短期金融市場はいまや、同会合で今年3回目の利下げが行われる確率を約90%と織り込み、さらに今年の最後の会合となる12月にも0.25ポイントの利下げがある公算が大きいとみている様子だ。10,12月に連続利下げが決定されれば、ECBの中銀預金金利は現在の3.5%から3%に低下する。
ECBの利下げ加速を見込む動きは、9月23日に発表されたユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)が予想を大きく下回り、需要の弱さと価格上昇圧力の低下を示したことがきっかけだった。ドイツ、フランス、スペインのインフレ率も2%未満に低下し、利下げ見通しを後押しした。
ユーロ圏の総合インフレ率は9月に低下したものの、年末に向けて再び上昇する可能性が高い。当局者が域内物価の上昇圧力を判断する材料として注目するサービスのインフレ率は9月に4%と前月の4.1%からわずかな低下にとどまり、依然として高い水準だ。