石破首相、24年春闘を上回る高水準の賃上げを要請-政労使協議
(ブルームバーグ): 政府は26日、労働団体と経済界の代表らと「政労使の意見交換」を開催した。石破茂首相は来年の春闘では33年ぶりの高水準となった2024年の勢いで大幅な賃上げを実現するよう求めた。
石破首相は協議終了前のあいさつで、政府としても「賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る」状況を目指し、環境整備などに取り組む考えを示した。最低賃金については2020年代に全国平均で時給1500円を達成するとの目標に向け、「たゆまぬ努力を進める」と指摘。来春までに対応策を取りまとめるよう関係閣僚に指示した。
賃上げに関連した政労使のトップによる協議は岸田文雄前政権下の23年3月、8年ぶりに復活。翌24年の春闘に向けても複数回開かれ、賃上げ機運の高まりを後押ししてきた。石破政権は岸田氏が進めた「新しい資本主義」を発展・加速させ、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現を目指しており、早期の協議開催で労使と対話を進める姿勢も継承した形だ。
連合の芳野友子会長は協議で政府に対し、賃上げに向けた基盤整備を進めるよう求めた。経団連の十倉雅和会長は「物価に負けない賃上げをぜひ実現したい」との見解を示した上で、「どういう数字になるかは予断を許さない」とも述べた。芳野、十倉両氏は協議後、記者団に語った。
連合は25年春闘の賃上げ目標に24年と同水準の「5%以上」を掲げる。24年春闘で大手企業と中小の賃上げ幅に大きな差が生まれたことを踏まえ、中小企業には格差是正分を加えた「6%以上」を要求する方針だ。
最低賃金
石破首相が掲げる最低賃金目標の達成には現在の1054円から毎年7%超の引き上げが必要となる。原材料価格や人件費の上昇により中小企業などの経営環境の厳しさが増す中、協議では労使双方から政府に注文が出た。
芳野氏は「根拠と丁寧な説明が必要ではないか」と指摘。十倉氏も早期実現を目指すのは経済団体も労組も一緒として、どのように実現できるかを労使の意見も聞きながら進めてほしいと要請したという。
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Akemi Terukina, Yuki Hagiwara, Erica Yokoyama