青一色から彩り鮮やかに 中能登の繊維団体が防災シート開発
●絵柄、模様自由にデザイン ●被災者の気持ち和ます 能登半島地震で被災した住宅のブルーシートに彩りを加えたい。被災地に広がる「青い屋根」の光景に胸を痛めた中能登町の繊維業団体が、イラストや模様、文字などを自由にデザインできる防災シートを開発した。団体によると、自由なデザインを選べるシートは珍しいという。町内の研究施設で防水性を確かめており、「繊維のまち中能登」の技術を生かして被災者の心に寄り添う。 シートを開発したのは、中能登町内の繊維業者など8社と町、町商工会でつくる官民連携団体「TEXSIL(テクシる)」。防災シートは、ポリエステル製で、幅は120センチ。絵柄の付く表面には撥水(はっすい)加工、裏面にはアルミ樹脂で固めた防水加工を施した。 シートへのプリントは、同町良川の繊維研究施設「能登テキスタイル・ラボ」にある大型機械を使う。テクシるによると、理論上はデザインの制限はないという。 テクシるは今月末まで、町名勝「不動滝」や町の鳥「ウグイス」、町特産どぶろくが描かれたシートをラボの屋根に設置し、防水、撥水効果の持続日数やプリントの耐久性などを確認する。結果を基に、具体的な商品化や値段を決める。 テクシるは2017年、町の基幹産業である繊維業の生産性向上や人材確保を官民連携で進めるために発足した。昨年春、繊維の販路拡大に向け、防災に関する新商品案を検討した際、住宅の損傷部分を覆うブルーシートが話題に上がった。 被災者から「震災の傷跡を示すブルーシートが住宅地のあちらこちらに見え、痛々しい気持ちになる」との意見を聞いた。被災者の気持ちを和らげようと防災シートの開発を決めた。 テクシるの担当者は「カラフルな防災シートで中能登町を含む被災地を彩り、被災者が少しでも前向きな気持ちになってほしい」と願った。自治体の備蓄品としての活用にも期待を込め、「防災グッズでも中能登の繊維をアピールしていく」と話した。