「最高」のひと言に尽きる 文句の付け所がない良質アニメの最終回3選
ただの荒唐無稽な萌えアニメではなかった
アニメの最終話は、作品の評価を決定づける重要な回です。ラストが微妙だとそれまでの評価が一気に覆り、逆に見事な着地を決めた最終回には多くの称賛が集まります。これまで放送されたアニメのなかで評判の良かった最終回といえば、どの作品を思い浮かべますか? 【画像】え、「雰囲気そのまま」「背格好もそっくり」 実写版『宇宙よりも遠い場所』と見比べる(3枚) ●『宇宙(そら)よりも遠い場所』 2018年に放送されたマッドハウスのオリジナルアニメ『宇宙よりも遠い場所』は、南極を目指す少女たちの青春グラフィティです。何かを始めたいけれど、なかなか一歩踏み出せずにいる女子高生「玉木マリ」、通称「キマリ」が、南極探検を企てる「小淵沢報瀬(こぶちざわ しらせ)」と出会ったところから物語が動き始めます。 女子高生たちが氷の大陸「南極」へ……。そう聞いて非現実的かつ荒唐無稽な物語に感じた人も多いのではないでしょうか。実際、作中でも周りの人びとが「高校生が南極なんて(笑)」とキマリたちをバカにし、あざ笑っていました。それでも一歩前へ踏み出す勇気、というものがひとつのテーマとして描かれており、最終回ではそうした彼女たちの苦労が報われる展開を迎えることで「神すぎる最終回」として語り草になっています。 また同作は、さまざまなアニメ関連のランキングで上位を飾り、果ては米ニューヨーク・タイムズが発表した「ベストTV 2018 インターナショナル部門」にまで選出されました。こうした功績からも、同作がいかに高い評価を受けている作品かがうかがい知れるのではないでしょうか? ●『王様ランキング』 十日草輔先生原作による『王様ランキング』も、最終回の素晴らしさに定評があるアニメです。主人公の「ボッジ」は世界一立派な王様を夢見る「ボッス王国」の王子ですが、耳は聞こえず、おまけに短剣も振れないほど非力で、周りから「王の器ではない」とさげすまれていました。しかし、ひょんなことから「カゲ」という友人を得て、ボッジの人生は輝き始めます。 まず大前提として、同作が友情の素晴らしさや人として大切なことを教えてくれる名作であることは間違いありません。2022年には3月度のギャラクシー賞月間賞を受賞しており、そこで「王位継承をめぐるありがちな物語かと思いきや、それぞれのキャラクターを深掘りし重層的な物語に仕立てあげた」と評されていました。 加えて原作の第1部にあたる内容を全23話で描ききっているため、物語は後腐れのない、すっきりとした終わり方です。 なお物語は現在も続いており、原作マンガはボッジの新たな冒険を描いた第2部が進行中です。また完全新作劇場版の制作も決定済みなので、気になる人は年末にイッキ見してみてはいかがでしょうか? ●『刀語』 2010年に放送された『刀語』は、「物語」シリーズで有名な西尾維新先生のライトノベルが原作です。刀を使わない剣士「鑢七花(やすり しちか)」を主人公に、12本の「完成形変体刀」とよばれる刀を持つ者との戦いが展開されます。 また同作は放送スケジュールがやや特殊で、1時間枠の作品として毎月1回のペースで放送されました。そのなかで、毎話1本ずつ刀を回収していくスタイルで物語が進行していき、最終話では今までに集めた11本の刀が「家鳴将軍家御側人十一人衆」という敵の手に渡り、七花がその全員と戦うという、いわゆるボスラッシュ的な展開となります。 さらにこれまでの伏線も回収され、見事に風呂敷を畳んだ最終回には、凄まじいカタルシスがありました。12か月もの間、毎月1話ずつ見ていた視聴者の大きな期待に応える最終回といっても過言ではありません。
ハララ書房