熊本の路線バス・鉄道5社、SuicaなどICカード決済から全国初の離脱…更新費12億円が重荷
熊本県内で路線バスや電車を運行する事業者5社は16日、PASMO(パスモ)やSuica(スイカ)といった全国交通系ICカードでの運賃の決済利用を取りやめた。5社によると、全国交通系ICカードによる決済からの離脱は全国初といい、システムの更新費計約12億1000万円が重荷になったとしている。
5社は、熊本市に本社を置く九州産交バスや熊本バス、熊本電鉄など。代替手段として、来年3月上旬にクレジットカードのタッチ決済に対応する新システムを導入する。それまでの支払いは、現金か地域限定型のICカード「くまモンのICカード」に限られる。
5社によると、2016年3月に全国交通系ICカードを導入し、来年3月がシステムの更新時期だった。今回は、導入時に適用された国や県の補助はなく、全額負担となる更新費用の捻出が困難だったという。燃料費の高騰などもあり、23年度は5社で計36億円の赤字を計上している。
新システムの導入費は約6億7000万円で、国や県の補助が受けられれば、事業者負担を2億円程度まで圧縮できるという。
クレジットカードのタッチ決済システムを提供する三井住友カードによると、公共交通機関での導入数は20年は全国5事業だったが、今年10月末時点で31都道府県133事業に上るという。
一方、熊本市内を運行する熊本市電は26年4月に全国交通系ICカードの決済を終了することも含めて検討している。JRでは継続して利用できる。