「じつは、ダメ」銀行に「結婚目的」入った女性が堕ちた、落とし穴…エリート行員は争奪戦、男性は遊びなれていた
結婚相手の争奪戦がスタート
かすみさんが配属されたのは比較的賑やかな町の支店だった。職場結婚となるとまずは同じ支店で探すことになる。同期で入社した女性のうち、かすみさんと同様に結婚相手狙いの女性は4割、3割程度がキャリア志向、残り3割が親のコネや、既に結婚が決まった腰掛の女性だった。 となると当然ライバルも多い。かすみさんの支店で20~30代のそれなりのポジションに就く将来性のある独身男性は2人のみ。 銀行というのは何かと集まる機会が多く、歓送迎会はもちろん、休日に地元の祭りに参加したり運動会があったり、その前後に壮行会やら打ち上げやら、様々な会合や飲み会がある。 かすみさんが入行した頃は、時代の流れとして「絶対参加」の掟はなくなっていたが、やはりそうした会合にしっかりと顔を出しておく方が上司からの覚えも良いし、狙っている行員との接触機会にもなる。 ほぼすべての集まりに参加したかすみさんは、結婚を強く意識した宏大さん(当時28歳、仮名)に狙いを定めで援護射撃をしていた。背が高くてハンサムで仕事もテキパキとこなす宏大さんは周りの女性たちの注目の的だった。 普通では近づけない“高嶺の花男子”に、かすみさんは同僚という職権を使って、好意をアピールし続けた。他の女性陣を煙に巻いて宏大さんとの距離を少しずつ縮め、ようやく二人きりの食事に誘われたそうだ。結婚相手の争奪戦の渦中にいるかすみさんにとっては、それは“天国行きのチケット”を手にしたようなものだった。
「脈なし」どころか危ない誘いまで…
入行から1年と数ヶ月の間、容姿を磨くために週2回のジムとエステに通い続け、待ちに待った機会を得たのだ。タイトワンピに身を包み、メイクレッスンで勉強したシャドーとルージュでキラキラ女子を装った。 準備万端で出かけたイタリアンレストランでは、宏大さんもいつもより一層おしゃれをしてソムリエとワインの相談をしている。ワイングラスを傾けて乾杯するとコース料理が次々と運ばれてきた。しかしデザートが運ばれてきても宏大さんは交際を切り出す様子はなかったそうだ。 かすみさんはここで初めて宏大さんは「脈なし」と知る。友達のつもりなのか、それともシャイなのか、理由はよくわからないが、かすみさんが真剣に捉えていた相手への好意を宏大さんは気づいていながら無視していたからだ。 かすみさんは、「告白は男性がするのがマナー」という鉄の掟を持っており、それを破って自分から告白することはバーゲンセールで売れ残った粗品と同じというプライドも持っていた。 崩れ落ちるように力尽きたかすみさんは、諦めの一途でワインをがぶ飲みした。最後のやけ酒がまわったのか酔って千鳥足で店を出ると、宏大さんは「この後どう?」と男女関係を求めてきたそうだ。 かすみさんは、宏大さんとの結婚、つまり正式なプロポーズを期待していただけに、遊びの誘いなんて筋違いだと腹を立て、差し出された手を跳ね除けた。その態度に宏大さんはドライに去り、その後誘いは一切なかったそうだ。 しかしその数か月後に、女子更衣室で目の前が真っ暗になる噂を聞く。それは同期入行の女性が宏大さんと寄り添いあって出勤したという話だった。 つづく、<不倫の誘い、「モテる」と勘違いした30代の独身女性「高望み婚の大失敗」…“苦しい経験値”が役に立たない>でも、「ドリーマー系・高望みタイプ」の婚活パターンをかすみさんの例をあげてお伝えします。
高須 美谷子(仲人)