負けていたのか?スノボHP連続銀・平野歩夢と金ホワイトの2.50点差のなぜ
今回の勝負は、随所に勝負のあやが見え隠れし、そこも面白かった。 終了後、2本目の平野の点が低いのでは、という声も聞こえてきたが、平野の得点が95.25点なのに対し、ホワイトの3本目は97.75点。確かに、2.5点の差は小さくない。単純にこの2本を比べた場合、どちらが上かと言えば、やはりホワイトだったと思う。しかし、ここまでの差がつくかどうか。 そうなってしまった裏には、平野が高得点を出したのが、まだ2本目だったという事情もある。仮にあそこで、ジャッジが97点を出したとしよう。そうするとその後、彼を上回るようなランが出た場合、98点、99点をつけざるを得ない。特にホワイトが控えていたことから、ある程度は低く抑えざるを得なかった。 最終滑走者にのみ100点が与えられるのも同様の理由である。途中で100点を出してしまうと、後で100点を連発しなければいけない事態が想定できる。よって、100点は最後まで“とっておく”のである。 もう1点――。これもタラレバだが、もしも平野が「1440」のバック・トゥ・バックを五輪まで取っておいたとしたら、どうなっていたのか。 スノーボードでは“初”に対して高い得点が与えられる。ただ、彼はそれを、先日行われたESPNの「Xゲーム」で決めてしまった。対抗してホワイトもリスクを承知で、ルーティンに加えた。決勝の2本目であろうと、その時が初なら、もっと得点が跳ね上がったに違いない。 もちろん、そうしたことを言えばキリがなく、居酒屋の会話のようになってしまうが、大会そのものは、これまでにないレベルの高さといい、ホワイトが最後の最後で逆転するという筋書きといい、見どころ十分。アメリカの視聴率は、かなり良かったのではないか。 スロープスタイル女子では、強風の中で強行し、様々な批判があったが、ハーフパイプ男子がIOC(国際オリンピック委員会)とFIS(国際スキー連盟)を救った。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)