まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定
昭和以降初となる、初日の1横綱4大関の全滅からわずか一夜。横綱と大関ひとりが土俵から姿を消した。 【写真】貴景勝の横綱昇進の足かせとなる“轢かれたヒキガエル”な負け方 5月場所2日目の昨13日、横綱照ノ富士(32)と大関貴景勝(27)が相撲協会に休場届を提出。診断書には照ノ富士が「左肋軟骨損傷、右変形性膝関節症」、貴景勝は「頚椎椎間板ヘルニア」とあり、いずれも「3週間程度の安静加療を要する見込み」という。 先場所途中休場した照ノ富士は両膝と腰のバクダンに、糖尿病も患っており、今場所前は左脇腹の肉離れで満足に稽古ができなかった。貴景勝も頚椎のケガの影響で、やはり稽古不足のまま今場所に臨み、これで3場所連続の休場である。 満身創痍で、いつ引退に追い込まれてもおかしくない両者。しかし、彼らが抱えるさまざまな事情が、それを許さないという。(【前編】からつづく) ◇ ◇ ◇ 照ノ富士と同様に、貴景勝も親方株入手に手を焼きそうだ。 現在の師匠である常盤山親方(元小結隆三杉)にとって、貴景勝は貴乃花に押し付けられた「もらい弟子」。あくまで後継者は自身が見いだし、育てた隆の勝なのだ。 「照ノ富士も伊勢ケ浜親方にすれば、間垣部屋からのもらい弟子。ただ、若三勝を名乗っていた間垣部屋時代の照ノ富士は鳴かず飛ばずで、伊勢ケ浜部屋に移籍後、大成した。そこへいくと、貴景勝は移籍時点で小結だった。師匠の思い入れは違う。さらに問題なのは貴景勝が貴乃花の弟子だったことです。本人の責任ではないし、師弟のつながりも切れているとはいえ、協会内ではいまだに『あの貴乃花の弟子に株を譲るなんて……』と拒否反応を示す親方は少なくない。こちらも大関特権で引退後3年間は『貴景勝親方』として活動できるが、果たしてその間に株を取得できるのか。今は一日でも長く土俵を務め、チャンスをうかがうしかないでしょう」(若手親方) 照ノ富士はこれで昨年から9場所中7場所に休場。今場所中の再出場は考えてないという貴景勝は来場所、史上3位タイとなる9度目のカド番が確定した。 まともに相撲が取れないにもかかわらず、辞めるに辞められない。それがあるべき姿かどうかはともかく、まだまだ体にムチ打って、まわしを締める日々が続きそうだ。 ◇ ◇ ◇ 照ノ富士が抱える“まだ引退できない”複雑事情は、●関連記事【前編を読む】…で詳しく報じている。