丸紅が銅事業を強化。チリ銅鉱山の生産拡張・権益追加取得、PPCの株式20%取得
丸紅は銅事業の強化・拡大を図る。20日、英国銅資源大手アントファガスタと共同出資するチリのセンチネラ銅鉱山において生産拡張の意思決定をしたと発表。加えて、JX金属が保有する同国のロスペランブレス銅鉱山における権益の3・27%を追加取得するとともにパンパシフィック・カッパー(PPC)の株式20%を取得することを同社と合意したと発表した。JX金属との取引総額は数百億円規模となる。今回の取引について、丸紅の土屋大介執行役員・金属本部長は同日開催した会見で「銅のバリューチェーン強化を含め、事業にとって大きな意義を持つ」と力を込めた。 センチネラ銅鉱山では今回、既存選鉱プラントの南に新規選鉱プラントを建設し、生産能力強化を図る。拡張によって生産量は年間約14万トン増加し、丸紅の持分権益銅量は約4万トン増加する。拡張後の生産量は世界トップ15の銅鉱山にまで成長すると見込まれる。また、副産物の金生産量でもチリ有数の金鉱山に分類される規模となる。24年から建設を開始し、27年の生産開始を計画する。初期開発費用は44億ドル(約6319億円)を見込むが、そのうち60%はセンチネラ銅鉱山でプロジェクトファイナンスを組成予定で、丸紅とアントファガスタの資金負担は40%程度となる予定。 ロスペランブレス銅鉱山における丸紅の権益は9・21%だったが、丸紅がJX金属より取得したことで12・48%まで増加。一方、JX金属の権益は12・52%となる。同鉱山の権益は両者のほか、アントファガスタが60%、三菱マテリアルが10%、三菱商事が5%保有している。 PPCはJX金属と三井金属の合弁会社で、原料調達から製錬・加工委託・製品販売までを担っている。銅地金販売量は年間65万トンと国内最大規模。丸紅はアジア圏の需要家向けを中心に銅地金トレードに取り組んでいるが、今回の取引を通じ、丸紅のネットワークとPPCの販売網を組み合わせ、アジア圏での販売力強化とサプライチェーン全体の付加価値向上を狙う。丸紅の株式取得価額は145億円。PPCの株式譲渡実行日は来年3月を予定する。 JX金属にとってPPCの株式一部売却はグループの収益性・財務体質改善につながると見込まれる。PPCの株式保有比率が67・8%から47・8%となることで、連結子会社から持分法適用会社となる見込みで、これにより、成長戦略のコアと位置付ける事業の連結売上高構成割合が増加し、連結売上高営業利益率が上昇すると見込まれる。またPPCは有利子負債が1954億円あり、連結有利子負債も大幅に減少する。