【タイトルホルダーインタビュー】日本ハム・河野竜生 ブルペン陣の結束力「みんなでつなぐ――特に今年はそのことを強く感じた」
ライバルであり仲間
日本ハム・河野竜生
タイトルホルダー・インタビューの第2回は、ファイターズの新たな“リリーフエース”の登場だ。キャリアハイの52試合で腕を振ったサウスポーは、努力を努力と思わぬ強靭なメンタルをベースに、仲間たちとの切磋琢磨の中で着実に進化を遂げ、自身初となるタイトルをつかみ取った。 取材・構成=杉浦多夢 写真=BBM 本格的にブルペンを持ち場として2年目のシーズン。チームが2位に躍進する中で“リリーフエース”と呼ぶべき活躍を見せ、自身初となるタイトルを手にした。もちろん1人の力でつかんだものではない。結束し、互いに助け合い、「みんなでつなぐ」という思いの下、ブルペン陣のみんなで獲得したタイトルだった。 ――初のタイトル獲得となりました。 河野 タイトルが獲れたことについてはすごくうれしいなと思います。ただ、(34ホールドポイントという)数字的にはタイトル獲得の中では少ないほうかなという思いもあるので、52試合に投げさせてもらって、自分自身でも4敗しているというところが引っ掛かっていますし、もうちょっとできたんじゃないかなという思いもありますね。 ――タイトル獲得や数字的な目標というのは設定していたのですか。 河野 毎年、キャリアハイの数字を残したいというのは思っていますし、今年もそれを掲げていました。ただ、リリーフに専念して2年目になるので、いつかそういうタイトルを獲りたいなっていうのはひそかに思っていたので。もちろん、まずは起用してもらって、そこで結果を残してチームに貢献したいというのが一番強いですし、ホールドに関しても僕1人で付けられるものではない。野手が点を取ってくれて、先発から中継ぎが頑張ってつないでくれて、点差とかいろいろなシチュエーションが重なった中での1ホールドの積み重ねなので。みんなで(タイトルを)獲れたっていう思いは強いですし、みんなに感謝したいですね。 ――チームが2位に躍進する中で、雰囲気の良さというのがいろいろな場面から伝わってきました。 河野 いいときも悪いときも、特に(新庄剛志)監督は去年からそうでしたけど、どれだけ勝てなくて、悔しい思いをして、チームが苦しんでいても、次の日には明るく振る舞ってくれていたので、それはやっている選手たちはすごく感じていましたし、もっと楽しくやらないといけないというのは思っていました。中継ぎ投手は準備するところが別なので試合中にベンチへ入れないですけど、まずブルペン陣が一体となって、その上で、チーム全体でひとつになって団結力を発揮することができていたのはよかったです。 ――先発の完投勝利後に、ブルペン陣が肩を組んでグラウンドに出てきて勝利の輪に加わる様子は、その素晴らしい空気感がファンにも伝わるものでした。 河野 ファイターズはホームで勝ったあとに一丁締めがあって、僕たちブルペン陣もフィールドに行くので、何かできないかなって。リリーフ陣の誰かが投げたときは全員がそろっていないんですけど、先発ピッチャーが完封や完投してくれたときは、僕たちも全員がそろっているし、ほとんど準備する必要もない。だからファンを喜ばせるじゃないですけど、「できることはないかな」っていうのを話していて、「じゃあ、肩組んで行くか」ということになりました。 ――そうした話ができる関係性というのが構築されていたのですね。 河野 そうですね。特に最年長の宮西(宮西尚生)さんがそういう環境をすごくつくってくれます。シチュエーションによって「バッターはこういうのを狙ってるんじゃないの」とか、「こういう場面でこれはやっちゃいけないよ」とか、いろいろ言ってくれますし、それはすごく勉強になります。かといって堅苦しいわけではなく、柔らかい感じでみんなで笑い合ったりということもしてくれるので、僕たちとしてはすごくやりやすいですね。 ――ブルペンリーダーとしてだけでなく、同じ左の中継ぎ投手としてもやはり宮西選手は大きな存在でしょうか。 河野 あれだけ長い年数、シーズン50試合以上に投げ続けて成績を残してきた方なので、「間違いはないだろう」と思えますし・・・
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週刊ベースボール