楽天モバイルの“プラチナバンド”がいよいよ始動、使えるツテをすべて使って巻き返しを図る
5Gは3.7GHz帯の電波を使用するが、この周波数帯は衛星放送受信設備も利用している。そのため、衛星地上局付近では5Gの出力を抑える必要があった。 しかし、対策工事の進展によりこの問題が解消された。その結果、5G基地局の出力を増強できるようになった。楽天モバイルは、この出力向上を5月から年内にかけて順次実施する方針だ。 三木谷会長は「出力アップにより、5Gを使っていただく方の1基地局あたりのトラフィック量が約2.3倍になる」と述べ、5G利用が浸透していることを強調した。
また、三木谷氏は4Gと5Gの間のハンドオーバー(切り替え)がスムーズに行えることも、楽天モバイルの強みとして挙げた。つまり、街中を動き回っている時に、4Gと5Gの切り替えのタイミングで通信が途切れたりすることなく、快適に利用できるネットワークになっているという。 この衛星通信の出力問題はKDDIとソフトバンクも同様に直面していた。KDDIは6月にSub6エリアを関東地方で2.8倍に拡大したと発表している。
■KDDIローミングこそ真の最終兵器か 楽天モバイルには、もう1つの切り札がある。KDDIとのローミング協定だ。 この協定により、楽天の整備が追いついていない都心の商業施設内などで、KDDIの4G LTE回線を借りてエリアを補完できる。当初、このローミング協定は楽天の新規参入を後押しするための一時的な措置で、段階的に縮小する予定だった。 ところが、三木谷会長は「KDDIとのローミング系のネットワークをさらに拡大していく」と述べた。実際、昨年4月にKDDIと新たに提携したローミング協定に基づき、都心の一部繁華街でのローミング提供を開始している。
【2024年7月3日20時20分 追記】上記のローミング協定の記述について、初出時から修正しました。 他社の力を堂々と借りられることが、楽天モバイルにとって真の“最終兵器”なのかもしれない。
石井 徹 :モバイル・ITライター