「平均寿命」は、その年に生まれた赤ちゃんの平均寿命のこと! すでに高齢の私はあと何年生きるの?
老後資金の見通しをもっているか
一方、気持ちや行動はその現実に追いついているのでしょうか。老後に向けての意識や準備状況について確認します。 表2は、「何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか」を聞いた意識調査の結果です(※2)。 40歳から59歳(中年層)では、80代前半までしか準備を考えていない方が多く、意識だけではなく実際の備えにも不安が残ることが見て取れます。 表2:何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか〈図表Ⅵ-10〉
なお、60歳以上が準備している金融資産の上位3つは、預貯金、生命保険、NISAの順となります。 また、公的年金の繰り上げ繰り下げ制度を知っているかどうかを聞く設問では、知らないと答えた割合が50代前半で22.8%、後半でも17.9%いました。 もうすぐ定年を迎える50代で、まだこれだけ老後資金の基礎になる公的年金の受け取り方を知らないのは、思いのほか多いと感じます。
何歳まで生きたいですか
同じ意識調査に「何歳まで生きたいですか」という問いもありました。 その結果、40~50代の中年層は、「60~70代まで生きたい」との希望が38.3%に達しています。最新の平均寿命よりも若いですね。 「自分は長生きしないだろうから」「迷惑かけずにピンピンコロリで死にたい」など、中年層のうちはあまり深い考えも根拠もなく捉えているのでしょう。 自分の寿命に関する漠然としたイメージと、実際の平均年齢にギャップのある方が多いことも、老後資金準備が不十分な一因かもしれません。
最後に
よく比較されるものに「健康寿命」があります。 健康寿命とは、健康上の問題で日常生活に制限のない期間の平均を指します。高齢社会白書(※3)によれば、2019年時点で男性は平均寿命より約9歳、女性は約12歳早く健康寿命を迎えますから、男女とも健康で過ごせる平均年齢は70代中頃までになります。 ちょうど「生きたい年齢」と重なるようですが、さらに90代まで、心身の健康問題と付き合いながら暮らしていく可能性が大きいということです。 これらの年齢はあくまで平均値あるいは予測ですが、それらを知ったうえで、自分の経済的準備を進めることが大切といえます。 出典 (※1)厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 (※2)生命保険文化センター ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査(2021年6月) (※3)内閣府 令和6年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 執筆者:伊藤秀雄 FP事務所ライフブリュー代表 CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
ファイナンシャルフィールド編集部