「平均寿命」は、その年に生まれた赤ちゃんの平均寿命のこと! すでに高齢の私はあと何年生きるの?
日本人の平均寿命は、コロナ禍で一時下がりましたが、また上昇に転じています。しかし、平均寿命って誰の寿命のことかご存じですか? 中高年層の老後準備の実態と合わせ、解説します。
平均寿命と平均余命
2024年7月に公開された令和5年簡易生命表(※1)には、最新の平均寿命と平均余命が載っています。 平均寿命とは、「0歳時点」で何歳まで生きられるかを統計から予測したものです。つまり、令和5年の平均寿命はその年に生まれた赤ちゃんの平均寿命です。すでに何十年も生きている人の寿命予想ではありません。たとえば、来年70歳になる方が生まれた1955年の平均寿命は、男性が63.30歳、女性が67.75歳でした。平均寿命をもう上回りますから、このあと何年生きそうかの参考にはなりませんね。 この場合、70歳になる方が同年齢の寿命予測を知りたい場合に用いるのが平均余命です。
自分の年齢だと寿命は何歳?
平均余命は、ある年齢時点の方が何歳まで生きられるかを統計から予測したものです。実は平均寿命と同じ算出方法です。異なるのは、「0歳以外の年齢」からあと何年生きるかを示している点です(※1)。 表1を見ると、令和5年の平均寿命(0歳の人の平均余命)は男性81.09歳、女性87.14歳ですが、同じく5歳の人に平均余命を足すと、もう同年の平均寿命を上回ります。すでに85歳まで存命の方に平均余命を加えると、それぞれ91.29歳、93.33歳と平均寿命を大きく上回ることがわかります。 同じ年に生まれ、調査時点まで生存できた人の寿命予測なので、長く生きるほど医療技術の進歩による貢献等もあり、最新の平均寿命も超えた余命になるということです。 表1:主な年齢の平均余命(令和5年)
同じく、男女それぞれ10万人の出生に対する男性90歳、女性95歳の生存率が25%以上になっているとの調査結果もあります(※1)。 このように、老後のライフプランや家計を考える際のポイントである自分の余命は、男女とも平均寿命を大きく上回っています。老後資金の検討では、平均寿命にとらわれず、90代まで抑えておくほうが手堅いでしょう。