北京でも「小学生切りつけ」事件が発生 5カ月で「児童殺傷5件」“子どもと女性と日本人”が狙われる「中国治安」の闇
首都でも通り魔
英BBCの集計によると、2010年以降、少なくとも17件の学校(大学を含む)で襲撃事件が起きており、そのうち10件は2018年以降に発生している。とくに、昨年は7月に広東省で刃物を持った男が幼稚園を襲撃した事件が起き、今年に入って6月に蘇州市で日本人母子が襲撃された事件、さらに前述の深センや広州、寧波の事件と立て続けに児童らの殺傷事件が起きている。 さらに、10月28日にも北京でやはり小学校を襲う通り魔事件が伝えられた。香港紙「星島日報」によると、同日午後3時20分ごろ、首都・北京市のなかでも、大学をはじめとする学校や教育施設が集中する海淀区の中関村第3小学校の校門前で、ナイフを持った男が下校時の児童や迎えに人たちに次々と切り付け、児童3人を含む5人が負傷。男は駆け付けた警官に逮捕され、負傷した児童らは病院に緊急搬送された。幸い死者はいなかった。逮捕されたのは50歳の男で、警察で動機などを詳しく調べている。 この事件を含め、今年6月以降の5カ月間に児童殺傷事件は5件起きていることになる。そのうち蘇州、深センの2件は日本人が被害者だ。
今年上半期の逮捕者18.5%増
中国最高人民検察院(日本の最高検察庁に相当)が発表したところでは、中国全土では今年上半期に36万7000人が逮捕され、76万1000人が起訴されている。これは、それぞれ前年同期比18.5%増と同6.8%増となる。また、中国最高人民法院(日本の最高裁判所)の発表によると、今年上半期に各地の裁判所で判決を受けた被告人の数は78万8000人で、前年同期比8.47%増となっている。 米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、逮捕者を収容する拘置所では定員12人のところに20人から30人も詰め込まれているところがあるという。それは刑務所も同じで、ベッドの数が足りずに、床にじかに布団を敷いて寝ている者も出ている状態だ。中国公安省(日本の警察庁に相当)は今年1月、全国の拘置所は2300カ所以上あると発表しているが、このまま逮捕者が増え続ければ、すくなくとも現在の2倍は必要となる計算だ。