スポニチ本紙のインタビューに応じるオナイウ阿道

　フランス1部オセールのFWオナイウ阿道（28）がスポニチ本紙の取材に応じ、2度目のフランス1部挑戦となる新シーズンへの抱負を語った。昨季は2部で得点ランク2位の15得点でチームの1部昇格に大きく貢献。フランスで大きく成長したストライカーは、復帰が期待される日本代表への思いも明かした。（取材・構成　垣内　一之） 　開幕が待ち遠しい24～25年シーズン、欧州5大リーグの一つ、フランス1部（リーグ・アン）に、また楽しみな選手が帰ってくる。昨季オセールで34試合15得点と結果を残し、チームを1年での1部復帰へと導いたオナイウだ。 　「チームの目標はまずリーグ・アン残留だと思う。そこにしっかり貢献しながら、個人的にもきっちり結果を残せれば、また（個人としても）いろいろな可能性が広がると思う」 　フランスに渡って約3年。習得が難しいとされるフランス語も上達し、ピッチでは2部優勝2回を含め3年連続タイトル獲得。精悍（せいかん）さを増した28歳のストライカーは、積み上げてきた確かな手応えと、大きな期待を抱き新シーズンの開幕を見据える。 　もちろん、平たんな道のりではなかった。 　「試合数で言えば出ていなかったわけではない。ただ途中出場が多くて数字的にも全くだったと思います。やっぱりFWとしては点を取ることが重要。それができなかった」 　海外初挑戦となった21～22年シーズンは、もがき苦しみながらも2部トゥールーズで10得点。2部を制してチームの1部昇格に貢献した。だが1部初挑戦となった翌シーズンは、フランス杯優勝こそ経験したものの、34試合2得点と悔しさだけが残った。 　「上位チームはどこも強い。当時で言えばエムバペ、ネイマール、メッシとか、名前のある選手ばかりに目が行くと思うけど、他にもいい選手はたくさんいる。個人で言えば、チームから求められているもの、自分のしたいことにギャップがあって、難しいシーズンになってしまった。1段階なのか2段階なのか、個人のレベルの差も感じました」 　ただ、その経験は決して無駄ではなかった。「相手DFと駆け引きしながら裏を取る、動き出して相手の逆を取る、DFラインの間でボールを受けてまた動き直したり、個人的にはそういう動きが好き。そうやって攻撃に関わっていきたいと思っていたので、同じイメージで入れたのがよかった」 　複数あったオファーから2部オセールへの移籍を決断し、1トップを主戦場に、左FWでも起用されるなど最終的にチームトップの15得点。成長した姿を見せ、自身2度目の2部優勝を果たして再び1部挑戦の切符を勝ち取った。 　「今季きっちり結果を残すことが僕の中では凄く大事。そうすることでもう一つ先の目標だったり、自分が見せられる段階を上げられると思う」 　当然、活躍次第では出場2試合目でハットトリックを決めたA代表復帰の可能性も出てくる。 　「自分が今の（代表）選手より劣っているから呼ばれてないとは思ってない。そういう強い気持ちを持ちながら、まずはチームでパフォーマンスを出すこと。自分が結果を出せれば、呼ばざるを得ない雰囲気になると思う」 　モナコの南野、Sランスの伊東、中村敬との日本人対決にも注目が集まる新シーズン。 　「僕自身も日本人の選手と対戦するのはやっぱり楽しいですし、それは楽しみの一つ。日本のファンにはゴール前での駆け引き、得点に絡む動きを見てもらいたい。コンディションを整えて、ケガをせずにやっていきたい」 　さらなる飛躍へ、強靱（きょうじん）なフィジカルを誇る点取り屋は、大きな野望と期待を抱いて新シーズンに臨む。 　▽AJオセール　創設は1905年。本拠地はフランス中央部のオセール。リーグ優勝は初制覇を飾った95～96年の1回で、フランス杯制覇は4度。23～24年は79～80年以来2度目の2部優勝を飾り、1年での1部復帰を決めた。チームカラーは白と青。指揮官はフランス出身のクリストフ・ペリシエ監督（58）。ホームスタジアムはスタッド・ドゥ・ラベ・デシャンで1万8541人収容。 　◇オナイウ　阿道（おないう・あど）1995年（平7）11月8日生まれ、埼玉県神川町出身の28歳。父はナイジェリア人、母は日本人。埼玉・正智深谷高2年時に全国高校選手権大会に出場。14年にJ2千葉へ入団し、17年に浦和へ完全移籍。J2山口、大分（当時J1）への期限付き移籍を経て、20年に横浜へ完全移籍。21年7月にフランス2部トゥールーズへ完全移籍し、23年8月に同2部オセールへ完全移籍。国際Aマッチ3試合3得点。1メートル80、75キロ。利き足は右。