年収1000万円アナ・奥井奈々「仕事はXのポストを読むだけ」から、腐らずに周囲の信頼を勝ち得た秘訣
年収1000万円をもらいながらも、仕事はXを読むだけ
「とはいえ、当初はアナウンスの経験も知識もないにもかかわらず、『オーディション合格者は年収1000万円』という触れ込みだったため、いきなり実力に伴わない高収入を得てしまい、周りからの目も気になり、常にオドオド、恐縮しっぱなしでした。 求められていたのは、空気を読んで迎合したり、忖度したりせず、自分の意見を持った芯のある人。そして、台本を読むだけでなく意見も発するアナウンサー。 でも実際は、切り込むタイミングが最悪で、他の人と比べて落ち込んでばかり。勉強不足で意見も軽薄。台本は棒読み。しかも元来の早口とボソボソしゃべる癖のダブルパンチ。 また、番組収録の経験なんてゼロだった私は、カンペすらまともに読めず、カンペに書かれた『次のコーナーへ』という指示書きすらそのまま読んでしまい、ひんしゅくを買ったこともありました」(奥井さん) そんな奥井さんが初めて担当した番組がわずか4回で打ち切りとなってしまった……。 その後は他番組で、放送中につぶやかれる番組に対する感想や意見のXのポストをただ読むだけで、出演はわずか数分。 「きっと、たいしたアナウンススキルも、番組を仕切るファシリテーション力もない私をどう使っていいのかわからず、『あんなダメなヤツでも、これくらいのことならできるだろう』と判断したのだと思います。鳴り物入りでMCになったのに、完全に“お荷物状態”でしたね……。 当時は、これ以上不相応な報酬を受け取ることに耐えられず、収録時に出される弁当すら手をつけなくなっていました」(奥井さん)
情けない、消えたい……「早く1日が終われ」
オーディションでは、「生命力がある」と高く評価された。しかしながら、いざ現場で仕事を任されてみると、自分の実力のなさを痛感し、死んだ魚のような目をし、生命力も何もない。 「常に誰かから、『あいつ、何やってるんだっけ?』『いったい何ができて合格したんだ?』と陰で言われているような妄想を抱いていました。縮こまってしまい、声がうまく出せない。そんな状態でアナウンサーの仕事なんてうまくできるはずもありません。 何をどうしたらいいのかもわからず、ひたすら指示待ち。アナウンサー志望の女子大生インターンのほうが私よりスキルがあり、その状況がますます私を追い詰めました。 そんな無能に存在価値はなく当然、仕事を振ってくれるはずがありません。悪循環がひたすら続きました。 情けない、消えたい、役立たず……。そんな無力感に苛まれながら、それでもどうすることもできないまま、『早く1日が終われ』と、ただただ時間が過ぎるのを待っていました」(奥井さん)