亡き妻が愛した「古民家カフェ」を受け継いだ夫 『パパさんへ』冷蔵庫に貼られた“引き継ぎ事項”を見て妻を思う「前を通るたびに、あれはできてる、これもやらなあかんなと思いますね」
「亡くなられた奥さんの遺志ですもんね」幸子さんを慕い支えたスタッフは今も厨房に
妻が愛した軒先カフェを受け継ぐ覚悟を決めた豊田さん。 (豊田信寿さん)「これはタイム。ハーブティーになるやつですね。ハーブ類はうちの妻が植えていました。妻が好きだったのは桑の実。おいしいからね、桑の実は。桑の実のコンポートを作りまして、妻の自信作だったから。今度、軒先カフェのスイーツのトッピングに」 幸子さんを慕い支えてきたスタッフたちは今も厨房に立ち続けています。 (スタッフ)「保津町はお年寄りが多いので、お年寄りの方たちに『あそこに行ったら何か楽しいことがある』って思っていただけるような場所にしたいっていうことが悲願やったね、最後」 (スタッフ)「亡くなられた奥さんの遺志ですもんね」 (スタッフ)「幸子さんに『あとはやるから』って言ったから、それをやめるというのは私の選択肢になかったかな」 (スタッフ)「誓ったからね」 不定期でオープンする軒先カフェ。地域の人たちと一緒に育ててきた大切な場所に、幸子さんの思いは生き続けます。
「母は田んぼを歩いていたかも」日本で暮らした“母の面影”を訪ねるオランダ人夫婦
カフェを開かない日、古民家はまた別の顔を見せます。「農家民宿」です。農業など、日本の文化を体験できる宿泊施設として、これまで多くの外国人観光客を受け入れてきました。 (豊田信寿さん)「(Q布団の敷き方も幸子さんから?)そう。ちゃんとしわ伸ばせって怒られました。ほとんどの方が日本の畳の上で寝られるっていうのをすごく楽しみにしているみたいなので」 この日はオランダ人夫婦のピーターさんとカトリーナさんが亀岡市を訪れました。古民家や田んぼなど、日本の原風景を見たいという2人。そこには特別な理由があリました。 (カトリーナさん)「私の母が亡くなって3年?」 (ピータ―さん)「3、4年だね」 (カトリーナさん)「それで、私たちは日本への旅行を思い描くようになったんです」 カトリーナさんの母・キャロラインさんは2020年に病状が悪化し、病院で亡くなりました。かつて、母のキャロラインさんは日本で暮らしたことがあります。オランダに戻ってからも、自宅の庭で盆栽を育てるほど日本の文化を愛していました。母が愛していた日本の原風景を肌で感じたい。それがカトリーナさんの願いです。 事情を知った豊田さんは、2人を田んぼへ連れ出しました。 (豊田信寿さん)「私が写真撮ります。いきます、ワン・ツー・スリー、OK!めっちゃきれいなの撮れた」 (カトリーナさん)「私の母は田んぼを歩いていたかもしれませんね」 目の間に広がる日本の原風景。カトリーナさんは、母・キャロラインさんに思いを馳せます。 (カトリーナさん)「親愛なるお母さん。私は日本に行きました。とても素晴らしかった。あなたはここにいないけれど、あなたに触れることができないけれど、田んぼの間やこの家にあなたがいるかのように感じました」 母国から遠く離れた亀岡で、今は亡き、大切な人との思いはつながりました。