「眠ったふりをしていた娘を置いて」MISIAの母・小児科医の伊藤瑞子 離島医療で夜間の呼び出しに多忙な日々も「娘が夢を叶えられた理由」
── 長男と長女は先に家を出たそうですね。 伊藤さん:上の2人は高校進学の際に、対馬を離れて私の実家から高校に通うことなりました。学童保育がまだなかったので、次女も小学校の夏休みには一緒に実家に預けていたのですが、長女が高校のプールに連れて行き、みんなに可愛がってもらっていたそうです。歌手デビューしてから「あのときの妹!?」とびっくりされたと聞きました。 宿舎に住んだことで、学年が近い子どもたちのなかで子育てができる環境にも助けられました。次女が病院の宿舎で友達と遊んでいると、夕方になっても私たち夫婦が仕事で帰れないときなどは、同僚の奥様たちが「うちで夕飯食べさせとくよ」と声をかけて下さいました。なかなか遊びに出かけることもできずにいたのですが、日曜に私が仕事のときも遊びに連れて行ってくれましたし、近所の子どもたちみんなとお揃いの編み込みのベストをプレゼントしてくださった方も。とにかく忙しくて仕事ばかりしていましたが、思い返してみると、困ったときは私たちの両親も含め、誰かがそっと手を差し伸べてくださっていたんだと改めて思います。周りの皆さんに助けられました。
── すごく温かい子育て環境ですね。お子さんたちも楽しそうです。 伊藤さん:今も仕事が大変なことは変わらないと思いますが、制度としては産休も育休もあって、学童保育もありますけど、周りに助けてもらって子育てをする環境としてはシビアですよね。小さいお子さんには必ず親が付き添う必要があって離れられないですし、今は子どもたちだけでお留守番して過ごすとか、子どもを他人の家に預けるなんてこともなかなか難しい時代だと思います。私は、断然、子育てを始めるのは田舎がいいなと思います。
■幼少期のMISIAさん「好きなことに一生懸命」 ── MISIAさんがひとりでお留守番することもあったそうですね。 伊藤さん:当時、病院からすぐ近くの宿舎に住んでいたのですが、夫が不在で私が夜中に仕事があるときは、不安だろうと思って次女が眠ってから家を出ていました。ところがあるとき、次女が眠ったふりをしていることに気がつきました。あとから聞いたら「最初は早く行きたそうだからと思っていたんだけど、漫画の続きを読みたいし、見たいテレビもあったし」って(笑)。そういう楽しみがあったから私がいないことも気にならなかったそうです。子どもってたくましいんですね。私たちも3人目の次女にはゆっくり構えていたと思います。
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