【独占】「ビッグモーター」新社長に初密着…現役社員が明かす“深い闇”
10月。和泉社長は、福岡県にある「ビッグモーター西福岡店」を訪れた。経営の中心から外されていた和泉社長が販売店を訪れるのは、7年ぶりのこと。自らを戒めるように社員に語りかける。 「売り上げを上げるために傷を作出し、保険会社に不正に請求して、それで売り上げていいんですか? 今までみたいに単純に台数、粗利、売ったもん勝ちになっているが、そうじゃなくて、売った後に本当にお客様に満足してもらっているか、1年後もちゃんと関係が切れていないか、そういうプロセスを重視していきたい」。
前体制の下で起きた数々の不祥事。和泉社長は「社長の息がかかった人間が『経営を立て直す』と言っても『それは無理じゃないか』という声が多く上がっているのも承知している。今はまず、会社が新たな再建、スタートできる体制をただただ作りたい。その先のことは、私が責任を取らなきゃいけない」と話す。
保険金の不正請求や除草剤で街路樹を枯らすなど、不祥事はなぜ起きてしまったのか…。 現役社員たちの証言から、“ビッグモーターの深い闇”が明らかになる。
「カモにされた…」ビッグ訴えた客が語る中古車買い取りの闇とは?
愛知・名古屋市。60代のAさんは、ビッグモーターを相手に裁判を起こしている。 去年8月、Aさんは、愛車・アウディのエンジンが故障したため、ビッグモーターに修理を依頼。すると営業担当者の男性から、「アウディには価値はなく、廃車にするしかありません」と説明されたという。 話は4時間近く続き、アウディを1万円で下取りに出したAさんだったが、数日後、契約をキャンセルするために担当者を訪ねると、すでにアウディは店からなくなっていたそう。その後、Aさんが運輸局に問い合わせると、アウディは別の業者に転売されていた。
アウディを売った日にビッグモーターで購入した軽自動車(103万円)は、シートベルトの根元部分が錆びており、後部座席はシミだらけ。Aさんは、「たばこの臭いがひどかった。劣化したタイヤがついていて、全体に細かいひびが入っている」と話す。 過去、ビッグモーターは、中古車の水没歴を告げずに販売したとして、裁判で売買を無効とする判決を下されている。 Aさんは「最初からカモにされたなと。『しめしめ』という感じだったんでしょうね。会社として成り立っているのが不思議で仕方がない」と話す。 ビッグモーターの一連の問題が発覚した後、Aさんは弁護士に相談。1万円で下取りに出したアウディは100万円以上の価値があり、購入した軽乗用車には25万円ほどの価値しかないと主張している。Aさんは不当な契約を結ばされたとして、ビッグモーターや兼重前社長らに対し、218万円の損害賠償を求める訴えを起こした。 ビッグモーターは、他でもこのような裁判を起こされており、今後も訴訟のリスクが膨らむ可能性がある。