【公務員 vs 民間企業】それぞれの「役職定年」で、収入はどれくらい変わる? 年齢・規模などについても解説
2023年から公務員にも導入された「役職定年制度」は民間企業でも導入されている制度ですが、公務員と民間企業では制度の主な内容と収入の変化が異なります。本記事では、それぞれの制度内容や収入の変化への影響などを解説します。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの?
役職定年とは、どんな制度?
役職定年とは定年退職年齢になる前に、勤務先で決められた年齢になったら部長などの管理職から降りて一般職などにつく制度です。 主に組織の新陳代謝や人件費増加の抑制・職員構成の高齢化に伴う管理職ポスト不足の解消、若手人材の育成などを目的として1980年代ごろから民間企業で導入されてきました。
公務員と民間企業での役職定年の内容の違いは?
公務員と民間企業それぞれの役職定年の内容には、主にどのような違いがあるのでしょうか。 (1)役職定年制度の対象となる年齢の違い 公務員では一斉に60歳から始まるのに対し、民間企業では50代から60歳まで各企業が定める年齢が対象で、55歳とする企業が多い傾向です。 (2)役職定年制度を行っている規模の違い 公務員では国家公務員・地方公務員も合わせて一斉に開始されましたが、民間企業では従業員数が多い企業での導入が多い傾向にあり、役職定年制度を廃止するところもあります。
役職定年による収入変化は?
公務員と民間企業それぞれの場合で、役職定年による収入変化はどの程度なのでしょうか。 <公務員での変化> 公務員での役職定年制度では、管理職についていた時点・役職定年によって役職からおりた日の翌日・60歳に達した日後の最初の4月1日と段階的に俸給(基本給)が下がっていき、最終的に管理職についていた時点での70%まで下がります。 例えば、課長級で51万円だった場合、役職を降りた翌日には41万円、60歳に達した日後の最初の4月1日には35万7100円(調整額を含む)となります。 <民間企業での変化> 厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、男女計では部長級58万6200円、課長級48万6900円でした。 人事院が平成20年に発表した「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」において課長級の役職定年後の年収水準が下がると回答した企業は82.5%でした。年収水準の低下率は「約75~99%」が最も高く78.2%、「約50~74%」が20.4%という結果でした。 仮に、役職定年前の課長級48万6900円から75%の減少として試算すると、役職定年後は36万5175円になります。