「新築住宅購入」で注意したい“ゆでガエルのワナ” 「日本は新築文化」だったが… 新築が売れなくなる3つの理由
しかしこうした立地のニーズは昨今、「超」がつくほど限定的です。共働き世帯が圧倒的多数となった現在、求められるのは駅前・駅近など利便性の高い物件で、また若年層であるほど自動車保有比率が低いという現状もあります。 自治体の経営上、そうした徒歩圏外の立地において「上下水道・道路・公園・橋」といったインフラ修繕をはじめ各種の行政サービスをまんべんなく提供するのは極めて非効率であるため、早晩「背に腹は代えられない」として、行政サービスは後回しにされるか、提供されなくなるでしょう。
もっと思い切って「人が居住できる都市計画」の定義から外される可能性も十分にあります。中長期的には、たとえ東京のような大都市であっても、街のコンパクト化を進め、行政効率を上げていかなくては、自治体経営が立ち行かないのです。 現行の金融システムは根本的な欠陥を抱えています。賞味期限切れで、もはや持続不可能でしょう。したがって近い将来に大きな変革が起こることが予想されます。これには、国家財政の破綻や新しい金融システムへの移行が含まれます。
自治体の主要財源は「住民税」と「固定資産税」です。金融リセット(国家財政の破綻や新しい金融システムへの移行といった大きな変革)後の世界では、中央から入ってくる「地方交付税交付金」やらいろんな名目の補助金をあてにした自治体経営はしない・できない前提で世の中が動きそうだと考えておいた方がいいでしょう。 こうした将来は都市計画から外れそうな立地にも、現在では新築住宅が造られ、個人の損得勘定で売れてしまうという、経済用語でいう典型的な「合成の誤謬(ごびゅう)」が起きています。
「合成の誤謬」とはかんたんに言えば「個人やミクロの視点では合理的な行動も、全体やマクロの世界では、必ずしも好ましくない結果が生じてしまうこと」です。 新築住宅の「合成の誤謬」を具体的に言えばこういうことです。 「新築を売りやすい制度設計のもと、事業者が新築を提供」 ↓ 「新築を買いやすい税制や低金利のもと、消費者が新築住宅を購入」 ↓ 「しかしこの時、自治体経営の観点はなく野放図に建設されるため、自治体の経営効率が悪化」