日本の6人に1人が貧困状態…厚生労働省が定める「相対的貧困」の基準とは
「相対的貧困」の支援が難しい理由
一方で「相対的貧困」は、可処分所得が中央値の半分以下である場合を指します。つまり、その国の大多数よりも貧しい状態にあるということです。 まさに相対的な比率なのですが、相対的貧困は絶対的貧困に比べて可視化しづらく、支援が難しいと言われています。そのため、行政などによる支援がなされず、貧困が世代間で連鎖し、貧困状態が固定化してしまうという問題が考えられます。 たとえば、貧しい家庭に生まれた子供は、十分な教育や医療を受けられず、大人になっても低賃金で不安定な職にしか就けないということがあります。すると、その次の世代(子供)にも十分な教育や医療の機会が与えられず、知識や健康面でハンデを背負ってしまう確率が高まるのです。 なお、日本では厚生労働省*5が「相対的貧困」を算出しており、所得が「約130万円」(貧困線)以下の場合を相対的貧困状態と定め、相対的貧困率は約15%としています*6。つまり6人に1人が貧困状態にあり、なかでも母子家庭の割合が高いといった状況です。 *5 日本の行政機関のひとつ。「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、健康、医療、福祉、労働など、国民生活の保障・向上を担っています。 *6 「国民生活基礎調査」(2021年)参照。
経済協力開発機構(OECD)が公表する各国の貧困率と比較してみると、日本の貧困率は先進国の中でもかなり高く、G7中ではアメリカに次いで2番目に悪い数値であることがわかります。 そのセーフティネットとして、日本では貧困の程度に応じて必要な保障を行う「生活保護」(Welfare)という制度が設けられており、厚生労働省が定める最低生活費を下回った場合に受給が可能になります。 ただし、生活保護を受けるための条件はそれほど甘くありません。基本的には不動産、自動車などの財産は売却する必要があります。現在では、65歳以上の高齢者*7の生活保護受給者が半分以上を占めています。 *7 世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者としています。