JSFAがサステナビリティ推進に向けた政策提言 故衣料の行政回収ガイドラインなど求める
加えて、リサイクル繊維の用途開発のための技術開発に関しても研究費の補助や、事業者間で競うコンペティションの開催など、産官学が協働した研究開発の促進につながる施策を求める。また、リサイクル繊維の原材料がバージン材よりも高価な現状を踏まえ、技術開発費などのコスト増を吸収するインセンティブ制度の検討を求めた。これにより「各企業における繊維再生研究が促進され、新たな需要の創出・発展が期待できる」としている。
「環境配慮設計ガイドライン」への2つの改定提案
提言の対象となる、もうひとつの報告書は24年3月に発表された「環境配慮設計ガイドライン」である。「これまで未整備であった環境配慮などに対する評価基準。方法に対して、政府が具体的な指針を示したことは、繊維産業における資源循環を促進するもの」と評価したうえで、2つの改訂方針を提案した。
一つ目は、ガイドラインに準拠して設計・製造された製品について、それがどういったものであるかがわかるよう、事例紹介など具体的なガイドラインの運用例を示し、同時に製品の環境負荷低減効果に関する情報開示の方法について具体的に示すことを求めた。
繊維が持つ環境にポジティブな側面も評価を
二つ目は、各繊維がもつ環境にポジティブな側面も評価し、それらを環境配慮設計項目に明確に示すことを求めた。特に天然繊維に関するポジティブな影響評価を求めている。「現状の環境配慮設計項目は基本的に、それぞれの繊維が持つ環境へのネガティブな影響を減らすために設定されている。これは環境負荷を定量的に評価する手法(LCA)に基づいているが、こうした手法は環境へのポジティブな影響を評価しておらず、持続可能性の実現のためには不十分。例えばある種の植物や羊毛は再生産が容易で、短サイクルで繰り返し採取が可能であるため、一定の数量を確保するための環境への負荷は他の原料と比して少なく、影響は限定的だ。繊維それぞれの環境への影響を判断する上で、こうしたポジティブな側面を評価に加える手法が望まれる」としている。