和歌山毒物カレー事件、林真須美死刑囚によるヒ素鑑定した教授への慰謝料請求を棄却…水戸地裁支部
1998年に4人が死亡した和歌山市の毒物カレー事件で、殺人罪などに問われ、死刑が確定した林真須美死刑囚(63)が、有力な状況証拠とされたヒ素の鑑定を行った当時の大学教授に名誉を傷つけられたとして、慰謝料300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁土浦支部(和久田道雄裁判長)は13日、林死刑囚の請求を棄却した。 【写真】和歌山毒物カレー事件めぐるドキュメンタリー「マミー」
林死刑囚は、カレー事件で犯行に使われたヒ素の鑑定を行った東京理科大の中井泉教授(現・同大名誉教授)が、2014年に海外の科学雑誌に寄稿した事件に関する論文により、肉体・精神的に苦痛を受けたなどと訴えていた。
判決では、カレー事件の最高裁判決が09年に確定しており、論文が存在しなくとも「原告が事件の犯人であるという(各メディアの)報道により、原告の社会的評価は著しく低下していた」と指摘。その上で、論文は公益性があったなどとして違法性は認められないとした。
原告側、被告側ともに誰も出廷しなかった。