経営破綻のサロンが続々…脱毛ビジネスの是非 被害者と医師に聞く“脱毛”を取り巻く現状
◆医療機関でないと“永久脱毛”とはうたえない…消費者のミスリードを誘う脱毛サロンの“永久保証”
脱毛サービスにまつわるトラブル相談の増加から、国民生活センターでは「エステと医療機関でできる脱毛の違いをよく理解しましょう」と注意喚起をしている。そもそも「医療脱毛」と「エステ脱毛」とはどう違うのだろうか。 「医療脱毛とは、毛包幹細胞などを破壊して毛が生えてない状態にすることです。この毛包幹細胞などを破壊するのは医療行為であり、医療法第17条により専門の医療者のいる医療機関でしか行うことができません。細胞を破壊するという多少なりとも医療リスクを伴う行為のため、万が一のリスクに対応できる医療者にのみ許可されています。 一方、エステ脱毛では毛包幹細胞を破壊する行為は禁止されている。つまり時間が経てば毛は生えてきますので、“脱毛”とはいっても実態は“除毛・減毛”に近いのではないでしょうか」(共立美容外科・實藤医師) ところがどちらも“脱毛”という言葉でひと括りにされているため、「エステサロンでも医療機関でも同じ効果が得られる」と思い込む人も少なからずいる。それにより、「希望するサービスとのミスマッチが起きているのでないか」と共立美容外科の實藤医師は言う。 「医療脱毛は脱毛効果が高いのですが、施術に伴う痛みもあります。もちろん痛みを軽減する処置はしますが、痛みの耐性は人それぞれ。医療脱毛が痛いからとエステ脱毛にシフトされる方も一定数います。それぞれの違いやメリット・デメリットを知り、またカウンセリングでしっかり説明を受けた上で、ご自身の希望するサービスを選択されるのがベストです」 脱毛サービスを知るきっかけとして増えているのが、ネット広告やSNS広告だ。ちなみに前述のようにエステ脱毛は「毛包幹細胞を破壊できない=時間が経てば生えてくる」ため、「永久脱毛」など「施術を受けたら生えてこない」ことを保証するような表現は景表法上で禁止されている。 「一方で、医療脱毛は“永久脱毛”という表現は可能です。ただし人間の体は再生する力があります。毛包幹細胞も再生される可能性があるため、医療脱毛を受けたから必ずしも“永久に生えてこない”というわけではありません」(共立美容外科・實藤医師) 美容や医療に関わる広告規制が厳しくなっており、「永久脱毛をうたう脱毛サロンは減っているのでは」と共立美容外科の實藤医師はいう。一方で「“永久保証”といった、消費者のミスリードを誘うような広告は増えている印象」とのことだ。