富士山“開山から2日”で「死者3名」の昨年越え…規制ない“静岡県側”に「弾丸登山者」がなだれ込む懸念は?
窓口は“控えめに”弾丸登山自粛を要望
「多くの方に来てほしいのはもちろんですが、山小屋の予約をされていない場合は、弾丸登山はお控えいただきたいと思っております」 あくまで控えめにこう要望するのは、静岡県側登山口の窓口となっている、県のスポーツ・文化観光部 富士山世界遺産課の担当者だ。 山梨県側のようにゲートも規制も設けられないため、窓口としてはあくまで「要望」しかできない。とはいえ、富士山にとって2024年はターニングポイントとなる年。静岡県側もこの機会に新たなルールを設定している。 それは、事前登録システムによる入山管理の導入だ。具体的には、専用のWebサイト(https://www.kkday.com/ja/product/173225?cid=19227&ud1=officialsite)から登山時間や山小屋宿泊予約の有無などの事前登録を行ってもらう。スマホやパソコンから入力し、多言語にも対応する。 事前に入山者の状況をできる限り正確に把握し、安全で快適な富士登山を推進するとともに、事故発生時の円滑な対応を実現する目的だ。登録時には、富士登山のルール・マナーの事前学習もセットにしており、アニメキャラクターを使ったわかりやすい動画で富士登山の危険な側面をしっかりと伝え、事前準備の重要性を訴えている。
静岡県側の富士登山での注意点
事前登録は義務ではないものの、新たなルールであり、知らずに入山する登山者もいるだろう。その場合は、静岡県側の3つの登山道(富士宮ルート、御殿場ルート、須走ルート)の各五合目で、現地に設置されたモニターを視聴して、ルール・マナーを学習してもらうという。 厳格になった山梨県側と比べれば安全対策は簡素ともいえるが、静岡県側ではこれまでもルールやマナー違反で著しく問題となるような事案は少なかったという。「弾丸登山」目当ての悪質マナー登山者が押し寄せることなく、例年通りの登山者レベルなら、事前登録システムでも十分な効果を期待できるだろう。 なお、入山規制のない静岡県側では2000円の通行料徴収はなく、これまで通り、富士山保全協力金の1000円が求められる(任意)のみとなっている。 ちなみに、静岡県側から入山し、山梨県側から下山するルートをとる場合は2000円の通行料が必要になる。こうしたことも含め、事前準備をぬかりなく行って挑めば、富士登山は快適で安全な夏のアクティビティとして満喫できるはずだ。
弁護士JP編集部