苦い経験は心を鍛える“予防注射” 成長の機会を逃さない「試練よ来たれ」の精神【テレビ寺子屋】
◆ずるのない「けんか」は子供任せに
例えば、「けんか」。夏休みに私が開催しているサマースクールを例に挙げると、8人班があって仲良くなり、そのうちけんかも始まる。すると仲間内で仲裁に入ったりと子供たち同士で解決するので、基本的に放っておきます。 ところが、7対1の完全にいじめ状態になってきて「これはダメだな」と思ったら、自分たちのモラル感覚の基準で「それはずるいだろ」と、間に入ります。これは先生の役割です。 どこにも正解や唯一の解答などなくて、子供たちがそのような悪い状態になったら割って入ります。
◆“勝ち負け”どちらも大切な部活動
それから「部活」。試合に勝ったときの喜びの一方で、負けたときの悔しさや自分のエラーで負けたときの身の置き場のなさといったような経験が全部いい。予防注射になるんです。 「それでも先輩たちは優しかった。『次がんばろうぜ』と言ってくれて、この辛さを乗り越えた」みたいなことを、いくつも経験できます。 「子供が少し嫌な目にあったりしたけれど、たくましくなった」という機会をちゃんと積み上げていかなければいけないのに、それ自体を除去して「我が子に何も起こりませんように」というのは、もう「社会に出るな」と言っているような教育です。常に嫌なことも起こり続けるのが社会で、それと渡り合わなければいけないのですから。 子供たちの心を強くするために、大人たちが「よし」と構えて、「試練よ来たれ」という気持ちをもって見守ってあげてほしいと思います。
高濱正伸:1959年熊本県生まれ。東京大学大学院修了。93年思考力などを重視した「花まる学習会」を設立。その後本格的な学習方法を伝授する「スクールFC」を設立。子供の「生き抜く力」を育てることを重視した教育が好評。 ※この記事は12月8日にテレビ静岡で放送された「テレビ寺子屋」をもとにしています。
テレビ静岡
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