山田杏奈、劇的な瞬間を何度も目撃「横浜流星さんの速さが尋常じゃない!」映画『正体』で感じた芝居の楽しさ
劇場で確かめたい、映画『正体』緊迫のクライマックスシーン!
──話せる範囲で、ぜひクライマックスシーンについても少し伺いたく。舞と鏑木が務めるケア施設で、大きな事態が訪れます。あのシーンのエピソードで印象的だったことを何か教えてください。 「あのシーンはかなり深夜に撮影しました。横浜さんや山田孝之さん、前田公輝さんたちのやりとりの横にいて、ただ圧倒されているみたいなところが多かったのですが、あそこは鏑木にアクションの動きがあるんですけど、とにかく横浜さんのアクションがすごくて。手を覚える速さが尋常じゃなかったんです」 ──たしかに尋常じゃなさそうな気がします。 「私も打ち合わせを全部見られているわけではないんですけど、ある程度、テストの段階を拝見していて、“いまので覚えられたの!?”と思ったのをすごく覚えています。それから山田さんたち含め、みなさんの集中力がとてもじゃなくって。 あのシーンは、非常に劇的な瞬間なのですが、私はそこで何が起こるかを知っているのに、それでもそこで初めて目の当たりにしているような感覚になりました。しかも何度繰り返しても、同じ感覚になっていました」 ──当然本編ではすごいシーンでしたが、撮影時の緊迫感も相当なものだったんですね。藤井組の現場の空気自体はどんなものだったのですか? 「和やかです。クライマックスシーンも、外でのシーンと2日間で撮影していたのですが、藤井組らしい和やかさは保ったままでした。吹き抜けのある空間で撮影をしていたのですが、“結構かかりますね~”なんて言いながら、待ち時間を過ごしてました。 声を荒らげる人もいないですし、藤井さんのやりたいことを、ひとつひとつ、みんなで無駄なく作っていくという感じの現場でしたね」
山田杏奈が芝居と向き合ううえで“信じていること”
──和やかな現場だったとのことですが、撮影の合間のエピソードをもうひとつ。 「これもケア施設の撮影のときのことですが、昼間、寒い中で撮影していて、温かいご飯を用意していただいて、隣の体育館でみんなで食べたんです。長いテーブルにみんなで足を崩しながら床で食べていたんですけど、藤井監督や山田さんが“ここに座りなよ”と、輪の中に入れてくださって、みんなで一緒にくっついてお昼を食べてました。 そういうところもすごく温かさを感じていい現場でしたし、だからこそしっかりと芝居に向き合える時間だったと思います」 ──本作は「信じる」という言葉もテーマのひとつです。山田さんがお芝居に関して信じていることを教えてください。 「お芝居って感情的に表現しなきゃいけないことが多いので、理論的に“こう”と信じていることは特にないんですけど、ただ“セリフは極力しっかり覚えたほうが、現場でセリフに集中しなくてよくなる”ということは、ある程度信じてます。 現場で“思い出さなきゃ”と思いたくないし、その場で生まれる感情をちゃんとつかみたいので、そのためにもセリフは現場に入る前に、しっかり頭に入れたいと思っています」 みなの事前の準備ができているからこそ、あのクライマックスシーンが生まれるのだ。 山田杏奈(やまだ・あんな) 2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。2011年に少女漫画雑誌主催の『ちゃおガール2011★』オーディションでグランプリを受賞し芸能界入り。2018年、『ミスミソウ』で映画初主演。2023年の『山女』で第15回TAMA 映画賞最優秀新進女優賞を受賞した。2024年公開の映画『ゴールデンカムイ』においてヒロインのアシリパ役を好演し、現在はWOWOWにてシリーズのドラマ版である『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』が放送中。ほか主な出演作にドラマ『新米姉妹のふたりごはん』(テレ東)『17才の帝国』(NHK総合)、映画『小さな恋のうた』(2019)『ひらいて』(2021)『彼女が好きなものは』(2021)など。映画最新作は『正体』。 望月ふみ
望月ふみ
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