誰よりも大声援を 血行障害発症、津田学園を支える側に 深尾最斗選手(3年) /三重
<第91回センバツ> 津田学園(桑名市)の深尾最斗(たかと)選手(3年)は、センバツ初戦を特別な思いで待っている。今年1月に右腕がしびれる血行障害を発症。甲子園で活躍することを夢見てきたため悩んだが、自ら監督に打ち明けた。今は試合当日はスタンドから誰よりも大きな声援を送ろうと意気込んでいる。【谷口豪】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 いなべ市出身。中学まで野球で打撃力に自信を持っていた。しかし高校に入ると「レベルが違った」。速球も変化球も打てず、練習試合でも結果を残せない。 練習後には自宅の車庫にネットを置き、家族で手伝ってもらいながら打撃練習をした。父幸近さんが動画サイトで参考になりそうな打撃フォームの動画を見つけ、アドバイスしてくれたこともある。 努力が実り、2年生になると打撃力は急上昇。昨夏の新チーム結成後に初のベンチ入りを果たし、「めちゃくちゃうれしかった」と振り返る。 ところが今年1月初め、朝起きると肘に鋭い痛みを感じた。右腕がしびれて力が入らない。病院に行くと診断結果は「血行障害」。治るには時間がかかるという。佐川竜朗監督に話せばメンバーから外れる可能性もある。家族には「ベースコーチとしてならベンチ入りできるのでは」とも声をかけられた。 それでも「本気で甲子園を目指している仲間にけがを隠して迷惑をかけたくない」と自ら佐川監督に打ち明けることを選んだ。「しばらく試合には出られません」。そう切り出した深尾選手を、佐川監督は「まずは治せ。夏の大会には戻ってこい」と励ました。 センバツ本番が近づき、選手たちが練習に打ち込む中、深尾選手は練習前の道具の準備や、ベンチの拭き掃除などに力を入れている。試合当日はベンチ入りしなかった部員らで作る応援団の副団長を務める。甲子園のグラウンドに立つことへの未練はもちろんあるが、「誰よりも大きな声を出し『津田の声援よかったな』とメンバーに思ってもらいたい」と感じている。 〔三重版〕