「日本のユーザーにはとても感謝している」 M5Stack TechnologyのジミーCEOが語る今と今後、そして「MSX0」との向き合い方
生産体制の強化や外部委託、長期供給の製品提供の可能性は?
―― 今後の話に映りますが、今回、新しいESP32-P4が搭載された製品などが公開されましたが、ジミーさんが今後やりたいことは何ですか? ジミー いろいろありすぎて、なかなか言えないですね(笑)。 高須 向こう半年ぐらいまでは、毎週何かしろ新製品が出ます。その半年の中で、どれが最優先でどれが後回しというのはころころ変わりますが、手持ちは半年分ぐらいあります。後はリソースの調整だけみたいなもので埋まっている一方で、普通に発売をやめちゃうこともよくあります。理由はそれぞれありますが。 ―― M5Stackは、どんどん新しい製品が出てくるので、プロトタイピングには向いていると思いますし、元々ジミーさんがそういう製品が欲しいということで起業したと聞いています。ただ企業が、例えば工場とかで使う場合、同じスペックのものが何年も供給できるかということがポイントになります。初代のM5Stackはもう終売になっていたと思いますが、今後、エンタープライズ向け製品については仕様を変えずに5年とか6年とか供給するとか、そのような計画はありますか。 ジミー 初代のCore Basicは確かにEOL(End Of Life/生産終了)になっていますが、2.6/2.7という多少部品を変えて供給し続けています。 高須 完全にディスコンになったものってほとんどないと思うんですよ。ただ、売れないから製造をやめたという製品はあります。基本的には部品のバージョンを変えて、ソフトウェア的にはコンパチビリティーがある形で、今でもやってますみたいな形ですね。だから、Raspberry Pi 3B/4Bみたいなのとあまり変わんないと思ってはいます。 ―― もうM5Stack Facesとかはないですよね。 ジミー 一部の販路では売り切れもありますが、あまり数が出ないので次を作っていないだけでEOLというわけではありません。 ―― もちろんM5Stackだけなんじゃなくて、ArduinoやGroveセンサーとかも同様と思いますが、センサーの素子自体がディスコンというか、変わってしまう場合もあると思います。あるうちに買っておかないと、手に入りにくくなるものもあるので。 ジミー 確かにそういう事態もありますし、温湿度センサーやENVというユニットは、バージョンが1/2/3/4まで出ています。センサーのメーカーを変えたりして、後継製品を出しています。 ―― センサーは基本的には後から出てくる方が、性能だけでなく精度が良くなっています。センサーメーカーが変わったりすると、ちょっと特性が変わるとかっていうのはありそうですけどね。 ジミー それは確かにそうですね。 高須 実際、Raspberry Piでは、同じものを5年間作るとか、7年間作るとかって発表していたりはするものの、そういうのはM5Stackでは確かに今のところはやっていません。そもそも、今使っている部品が5年後とか7年後に手に入るかってことが、よく分かっていないのが実情です。