「日本のユーザーにはとても感謝している」 M5Stack TechnologyのジミーCEOが語る今と今後、そして「MSX0」との向き合い方
「Tab5」は年明けの発売を目指している
―― Tab5についてですが、キーボードはオプションとして、タブレット部分の本体のみで発売されるのでしょうか。 ジミー Tab5は標準モデルではタブレット部分のみで、キーボードはオプションとして販売する予定です。 ―― 標準モデルに関しては、2024年中に出てくるイメージですか? ジミー 今回、日本に来る直前にようやくソフトウェアが動き出して、カメラも動き出しました。ボディーもまだプラスチックの成形品ではなくて、3Dプリンタで作っています。 日本のお客さまとMSX側に、このような仕様でどうでしょうかという、仕様の最終確認を行うのが今回の目的です。それで日本のお客さまと西さん、それらを当社で調整できれば、プラスチックの金型の製作に入ります。 プラスチックの金型を作るには、ある程度の費用と2カ月くらいの時間がかかります。また、こういった通信機能を搭載した商品は、無線の認証にも1カ月や2カ月くらいかかってしまうので、2025年になんとか出したいなと思っています。1つの目標として、ドイツで毎年開催されている「エンベデッドワールド」で、ヨーロッパのお客さまに、Tab5の完成品を見せたいというのがあります。 ―― エンベデッドワールドはいつ開催されるのですか? 高須 2025年の3月11日~13日ですね。M5Stackの場合、製造数量が多い製品だと、大体2カ月前ぐらいから部品手配とかを始め、生産準備が完了してから2カ月半後ないし3カ月後に発売というのが一般的です。 今、M5Stackで毎週新製品を出しているので製造ラインが大体埋まっていて、待機している製品がいっぱいあるんですよ。それらの製品を入れ替えることで発売日が変わってくるため、現状だと正直いつ出るかはよく分からないのが現状です。 いつ出るかはハッキリとしませんが、大きな問題は見つかってないのでエンベデッドワールド前には出そうと思えば出せるし、出す気ではいます。ただし、他の製品が非常に売れたり、他の製品で解決すべき問題がたくさん出てきたりすると遅れることはよくあります。 ―― 日本のユーザーはキーボード付きTab5に期待している人多いと思います。昔、シャープやカシオ計算機がポケットコンピュータを出していました。 ジミー 本当は「M5Stack Cardputer」の大画面版ができればいいのかもしれませんが、ESP32-S3チップでは、大画面のディスプレイをサポートできません。ESP32-P4の新しいチップだと少しは大きな画面にできるため、今回はCardputerではなくてTab5の方が良さそうだというので話を進めています。 高須 Tab5みたいな全くの新製品だと発売するということは、要はプロトタイプをやめようという話でもあります。カメラはあれでいいのかなど、仕様を変えられるところがまだいっぱいあって、今回のMaker Faireで初めて動いているものを公開することになります。 もちろん早くは出したいのですが、あのような大きい製品で、簡単に仕様を変えて何かを出すということはあまり良くありません。プロトタイプの時間を、もっと長く取るということはよくあります。M5Stackは、プロトタイプの時間を長く取ることをそんなに嫌がらない会社ではあります。