祖父が自宅の庭で“野焼き”をしていたのですが、問題ないのでしょうか?祖父は「昔からしているから大丈夫」と言うのですが…
野外でごみを燃やす「野焼き」。家族が自宅の庭で行っている姿を見たことがある方もいるかもしれません。しかし、自宅での野焼きに法的な問題はないのか気になる方もいるでしょう。「昔からしているから大丈夫」という認識は、本当に正しいのか疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、野焼きの法律上の扱いを解説します。家族の野焼きに不安を感じている方はぜひご覧ください。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
「野焼き」は違法行為にあたる可能性が高い
野焼きは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第16条の2で原則禁止されています。違反すると同法第25条により、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。 野焼きが禁止されている主な理由は、火災のリスクがあることとすすや臭いなどが近所迷惑になること、PM2.5やダイオキシン類などの有害物質を発生させるおそれがあるからです。 環境省によれば、PM2.5は大きさが2.5マイクロメートル(1マイクロメートル=1/1000ミリメートル)以下の粒子のことです。ぜん息などの呼吸器系疾患への影響や、肺がんリスクの上昇、循環器系への悪影響などがあるとされます。 一方ダイオキシン類は、炭素や水素、塩素を焼却する過程などで生じる物質です。公益社団法人日本WHO協会によれば、生殖、発育、免疫系、ホルモンなどに悪影響を及ぼし、発がんリスクがあるとされています。また広島県が公表している情報によると、一度体内に入ったダイオキシン類が半分の量になるには、約7年かかるとのことです。
「野焼き」が例外的に認められることもある
原則は禁止されている野焼きですが、畑などでまれに目にすることもあるでしょう。そうしたケースは、法律上の例外に該当している可能性が高いです。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第14条によれば、具体的には以下の5つの場合にのみ野焼きが認められます。 1.国、地方公共団体が施設管理を行うために必要なもの(例:海岸管理者による漂着物等の焼却など) 2.自然災害などの予防や応急対策、復旧のために必要なもの(例:災害時における木くず等の焼却など) 3.地域の風習や宗教行事のために必要なもの(例:どんど焼きなど) 4.農業、林業、漁業を営む上でやむを得ないもの(例:農業者が行う稲わら等の焼却など) 5.日常生活を営む上で通常行われる廃棄物焼却であり、軽微なもの(例:たき火、キャンプファイヤーなど) ただし上記に該当する場合でも、野焼きが許可されているというわけではなく、野焼き以外で対処できるのであればそちらを活用することが推奨されています。 また、家庭から出たごみを混ぜたり、ビニール・プラスチック類を焼却したりはできません。違反すると、前述した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第25条により、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科される場合があります。 例外として野焼きを行う際は以下の点を徹底しましょう。 ●近所の了解を得る ●風の向きや強さ、燃やす場所や量などを考える ●草木は乾燥させ、煙の発生量をおさえる ●焼却中はその場を離れない ●消火する際は、水を入念にかけ、完全な消火を確認する 延焼となると大惨事につながりかねません。万が一にも迅速に対応できる体制が不可欠といえるでしょう。