パリ・オリンピックのマラソン競技コース上の見るべき名建築10
パレ・ド・トーキョー/7.6km地点
1937年万博から生まれた、コンテンポラリーアートと近代美術の殿堂 その名は「東京宮殿」だが、日本には直接関係ないのが、セーヌ川岸に建つ、大型のコンテンポラリーアートセンター、「パレ・ド・トーキョー」だ。左右対称の翼を広げたような、新古典主義の流れを汲む建物は、1937年のパリ万博時に「近代美術の殿堂」という名で建てられたもの。当時、セーヌ川岸が、第一次大戦時は同盟国だった日本にちなんで東京通りという名だったため、建物が「東京宮殿」となり、名前だけそのまま残っている。 東側は、パリ市の近代美術館となり、現在まで、デュフィや藤田嗣治、ピカソの作品が展示されているが、西側は、2002年に、現代美術のアートセンターとしてオープン。22000㎡もの空間を生かして、大型作品や、インスタレーション、映像作品など、さまざまなクリエーションを企画展の形で展示するようになった。展示スペースは夜10時まで営業しており、館内には広いテラスを持つレストランもあって、暖かい季節のナイトアウトには人気のスポットだ。
シャイヨー宮/8.3km地点
セーヌ右岸側の高台に聳える双翼の館 「エッフェル塔」の真向かい、セーヌ川を挟んだ向かいの高台に、翼を開くように堂々と建っているのが、エッフェル塔の絶景ポイントとして名高い「シャイヨー宮」だ。 名前はパレ(宮殿)だが、1937年のパリ万博時に建てられたもの。パリでは、19世紀から20世紀にかけて、万博が開かれる度に、大きなパビリオンが建てられ、それが現在まで残っているものが多いが、この場所には、1878年万博の時に建てられた、アラビア風の「トロカデロ宮」があった。市民に評判の悪かったそれを取り壊して作られたのが、新古典主義の代表的建築である「シャイヨー宮」だ。 現在では、南側には、海洋博物館と人類博物館、北側には建築文化財博物館と国立シャイヨー劇場が入り、さまざまなカルチャーを楽しめ、市民に愛されている。マラソンコースは、左に「エッフェル塔」、右に「シャイヨー宮」を望みながら、川岸を進んでいく。