パリ・オリンピックのマラソン競技コース上の見るべき名建築10
パレ・ブロンニャール(旧パレ・ド・ラ・ブルス)/2km地点
証券取引所の黄金時代を思わせる、力強く並ぶコリント式の列柱 ブルスとは、証券取引所のこと。その名のメトロの駅の前にそびえるのが、古代ギリシャの神殿の如き、コリント式の列柱が並ぶ巨大な建築だ。1808年にナポレオンの命により、パリ証券取引所を収容する為に建てられ、以来、ブルスといえばこの建物と、19世紀から20世紀にかけてのパリの金融の中心であった、この界隈のことであり続けてきた。 時は移り、証券取引に大きな建物が要らなくなり、1998年に閉鎖されてからは、19世紀の面影を残すネオクラシックの格調高いインテリアとビジネス寄りのイメージを活かして、多目的のイベントやコンベンションスペースとして使われている。
オペラ座(ガルニエ宮)/2.7km地点
ガルニエ宮の周りをぐるり一周走って、大きさを実感 世界三大劇場の一つに数えられる、由緒ある「オペラ座」は、設計者シャルル・ガルニエの名をとって、ガルニエ宮とも呼ばれる、ネオ・バロックの殿堂だ。ナポレオン3世が建設計画を政令化した1860年には、ちょうど、セーヌ県知事オスマンによる、パリの市街の大々的な改造計画が進行中。放射状に通りが交差するデザインの中心の一つになる、「パレ・ロワイヤル」から一直線に進んだ広場に、ガルニエの案による絢爛豪華な劇場が建設されることになった。 1875年に完成後、現在まで、国立の「オペラ座」であり、1989年にバスティーユに新しい「オペラ座」が完成して以降は、ガルニエ宮では主に、バレエを上演している。マラソンでは、「オペラ座」の周りを一周するコース。特に注目は、正面ファサードの、華やかな装飾だ。屋根の上の黄金の彫刻から、円柱の間に並ぶ数々の胸像は、どれも音楽やダンスにちなんだテーマで優美そのものだ。
ルーヴル美術館/4.5km地点
宮殿の中庭を通って、ガラスのピラミッドの前を駆け抜ける 数あるパリの名所の中でも、長く豊かな歴史と、世界で最も入場者数の多い美術館という人気を誇る「ルーヴル美術館」。12世紀に要塞として建設され、今も美術館の地下にその遺跡が残っている。 度重なる改築を経て、フランス国王が暮らす美しい宮殿となったが、ヴェルサイユに宮廷は移り、フランス革命後の1793年には、世界で最も古い美術館に。収蔵品は増え続け、現在は38万点以上という圧倒的な規模だ。 宮殿の中庭に、ガラスのピラミッドが作られたのは、フランス革命200周年のこと。イオ・ミン・ペイ作のピラミッドは、当初、景観を壊すと非難を受けたが、今では、クラシックな建築と見事に融合した美しさに加え、美術館の新たな玄関としての役割を見事に果たしている。マラソンのコースは、リヴォリ通り側からセーヌ河岸へと、ピラミッドを眺めながら横切っていく。