パリ・オリンピックのマラソン競技コース上の見るべき名建築10
アレクサンドル3世橋/6.6km地点
ロシア皇帝から贈られた、セーヌ川で最もゴージャスな橋 1991年に世界遺産に登録された「パリのセーヌ河岸」の中でも、最もフォトジェニックで、「エッフェル塔」を臨むベストポイントの一つでもある橋と言えば、「アレクサンドル3世橋」だ。 アール・ヌーヴォー様式の街灯、天使やニンフの像、金色のペガサスなど、その装飾は優美かつ豪華。1900年のパリ万博に合わせて、フランスとロシアの友好の証として、アレクサンドル3世の息子である、最後のロシア皇帝ニコライ2世からの贈り物として作られた。 「エッフェル塔」と同じく、当時先端だった鉄鋼アーチ構造で作られ、右岸と左岸を結ぶ橋の途中には支柱が一本もないのも、シルエットの美しさに貢献している。マラソンでは、この橋は渡らず、セーヌに沿って右岸側を走り抜けていく。
グラン・パレ/6.7km地点
3年間の修復を経て、オリンピックから復活 「アレクサンドル3世橋」のすぐ傍、向かいにある「プチ・パレ」と共に、同じく1900年のパリ万博の際に建てられたのが、「グラン・パレ」。建物の幅が240m、中央のガラスのドームの高さが43mという圧倒的な存在感だ。 この時代の建築物らしく、当時最新の素材だった鉄骨とガラスをふんだんに用い、アール・ヌーヴォー様式ならではの植物紋様を施した、鉄のレースのような装飾が軽やかでエレガント。シャルル・ジローら、「ローマ賞」受賞者ばかり4人の建築家が力を合わせて設計したものだ。 館内には、国立のギャラリーや科学技術博物館、映画館やレストランなど常設の施設もあり長年パリ市民に親しまれているが、「グラン・パレ」と言えば誰もが思い浮かべるのは、「ル・ネフ(身廊)」の名で知られる巨大なガラス屋根のホール。「シャネル」のコレクション会場、馬術大会「ソー・エルメス」など、数多くのイベントに使われてきた。 2021年から3年間は、閉館され、大々的なリノベーションが施された。その間は、左岸に仮設の「グラン・パレ・エフェメール」が同じ形で作られて話題になった。オリンピックでは、お色直ししたばかりの本物の「グラン・パレ」と、仮設スペースの両方が会場になり、どちらも脚光を浴びる予定だ。