XにもYouTubeにもない「底知れない拡散力」がある…米国政府が本気で「TikTok規制」に乗り出す本当の理由
■TikTok側は「言論の自由」を訴える 米国TikTokとバイトダンスおよび一部のユーザーは、「禁止法」は「言論の自由」を保障する合衆国憲法修正第1条に反すると訴えたが、連邦控訴裁判所は12月6日、違憲状態にないと新法を支持。さらに、一時的に「禁止法」の施行をストップさせる「緊急差し止め命令」を出すようにTikTok側が求めた申し立ても、13日に棄却した。 「禁止法」を支持する理由として「米国人の言論の自由を中国から守るために必要」と主張している。 TikTok側は12月16日、連邦最高裁判所に緊急の差し止め命令を出すように訴え、1月6日までに結論を出すように求めた。これに対して連邦最高裁は18日、「禁止法」の合憲性について1月10日に口頭弁論を開いて審理すると明らかにした。緊急差し止めについての検討も10日まで延期され、最終的な判断は「禁止法」が施行される直前まで下されない可能性がある。 ■「禁止法」が無効となる可能性はあるのか 最高裁が「禁止法」を無効とする可能性があるとすれば、2つのポイントが考えられる。第一は、先に述べたように禁止令が合衆国憲法修正第1条が定める「表現の自由」を侵害すると判断した場合。 控訴裁の判事らは「禁止令は外国の敵対勢力による支配のみに対応するよう慎重に設計されており、合衆国憲法修正第1条に抵触しない」と述べている。また、判決では、米国人が表現の場、コミュニティーの源、さらには収入源を失う可能性を認めつつも、議会はそのようなリスクを国家安全保障上の懸念と比較検討したうえで決定した、と指摘している。最高裁が、こうした控訴裁の決定を覆すことは考えにくい。 第二のポイントは、バイトダンスがTikTokの運営と中国政府が無関係であることを立証すれば覆る可能性はある。中国政府から情報提供を求められない、あるいは求められても応じないことを具体的な証拠をあげて証明する必要がある。これも現実には相当に困難だ。 「禁止法」は大統領の判断で1回に限り、最大90日間の猶予を与えることができる。1月19日の最終日間近にバイデン大統領が延期を認め、翌20日に就任するトランプ大統領にバトンタッチする流れは十分に考えられる。