トヨタ、未来のケアモビリティへの取り組み〈H.C.R.2024 第51回国際福祉機器展&フォーラム〉
車いすのワンタッチ固定:固定作業を簡単にすることで、作業者&利用者の心理的な負担軽減を目指す
車いすで外出するには、自家用車などを利用して自助または介助で乗り込む場合でも相当の労力を要するが、これが公共交通機関となるとさらに一気にハードルが上がってしまう。現状ではどうしてもバスの運転手さんや駅員さんたちの手を借りることになってしまい、こういったスタッフの苦労や、ほかの乗客の方を待たせる時間のことを考えると申しわけなくなってしまう…というのが障がい者の方の本音だろう。 そこでトヨタが提唱したのが、「ワンタッチで車いすを車両に固定できる装置」を普及させること。これは車いすでの車両乗降の際、とくに手間がかかる車両への車いす固定の作業を簡単にすることで、作業者・利用者両方の身体的及び心的負担を軽減するのが狙い。現在では、車椅子簡易固定標準化コンソーシアムとして、多くのカーメーカーと車椅子メーカーが連携して活動に取り組んでいる。 ◆コンソーシアムガイドラインに対応したアンカーバー。車いすメーカーのアイデアによるものだという。 ◆簡易固定器具と車載用の専用車いす。車載時にはヘッドレストも装備可能だ。 ◆キモとなる車いすを固定するフック。車両側の床面に簡易固定器具を埋め込む形になる。 ◆車いすは折り畳みも可能だ。このあたりも車いすメーカー側のアイデアによるものだ。 ◆こちらはスズキブースに展示されていたパネル。この分野に多くのカーメーカーが参画していることを確認できる。
NUKUMARU ぬくまる:移動式の本格ミストサウナをモビリティ化。お風呂が必要な人と場所に、迅速に提供可能へ
移動式ながら本格的なミストサウナ(蒸気浴)を可能にした、普通免許で運用できる専用モビリティがこちら。 ハイエースのスーパーロング&ワイドボディハイルーフをベースにしているため全長5380mm、全幅1880mm、全高2285mmとかなり大柄だが、その分車内スペースにも余裕があり、脱衣所や浴室も十分に広い。 またナノミストは人の毛穴よりも小さな粒子のため、角質層にまで浸透して汚れを取り除けるのが長所だという。 石鹸やシャンプーは不要で、1人当たりわずか330mlの水で運用できるという点も驚きのポイント。 入浴が億劫になりがちなお年寄りの介護の現場はもちろんだが、2024年初頭の能登半島地震災害における被災地支援でも活躍した実績がある。 ◆大型のハイエースをベースにしている。前席3名乗車で仕様で、走行中は入浴不可となっている。 ◆リラックスできる木肌が特徴の内装。展示車両は、実際に今年1月に発生した能登半島地震災害の被災地支援を行った車両だという。 ◆リヤゲートを開けるとバックヤードが現れる。ミストシャワー装置や20Lの水タンク、バッテリーや外部給電要コードなども備えている。