【10月開催】日銀の金融政策決定会合直前! 0.25%への利上げによる家計への影響は? 7月の会合内容を振り返り
2024年10月30日から日銀の金融政策決定会合が開催されます。会合開催前に7月30~31日に開催された日銀の金融政策決定会合の内容を振り返りましょう。 日銀は、政策金利である無担保コール翌日物レートを0.25%に引き上げることを決定し、2026年3月までに国債の買入額を3兆円程度にまで減額していくことを発表しました。 今回は改めて、金融政策の見方について伝えていきます。
実質GDP(国内総生産)と物価の動向について
経済政策には、「金融政策」と「財政政策」があります。今回開催された日銀の金融政策決定会合は、金融政策の話です。日銀の役割は、物価と雇用を安定させることなので、これらの動向を注視しながら、金融政策をどのようにするか決めていきます。 日銀は、7月の金融政策決定会合において、日本の経済見通しについて、政策委員がどのように考えているかを発表しました。特に物価ですが、生鮮食品とエネルギーを除いた「消費者物価指数」は、おおむね物価の誘導目標である2.0%に達するまで下落していることが分かります。 これに対し、「実質GDP」の成長率については中央値で、2024年度は前年度比0.6%上昇、2025年度は1.0%、2026年度も1.0%の上昇を見込んでいます。景気がよいか悪いかは、端的にいえば、実質GDPの成長率がどのように推移するかで判断します。 実質GDPは、名目GDPから物価の上昇率を差し引いた値として計算することができますが、例えば、2024年度の場合、実質GDPが0.6%、生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数が1.9%であるため、2.5%が名目GDP成長率になります。 生活実感としてのGDP成長率(名目値)が2.5%なのに、実質GDP成長率が0.6%しかないわけですから、依然として物価が景気の重しになっていることが分かります。 図表1
出典:日本銀行「経済・物価情勢の展望(2024年7月)」
金融政策を見るときは、生活者目線でなく日銀の目線で考える
前述のデータから判断できることは、「景気がまだまだ回復に至っていない」ということです。生活実感として、そのように思う方は多いでしょう。にもかかわらず、日銀は政策金利である「無担保コール翌日物レート」を0.25%に引き上げました。 報道では、「預金金利が上がる」、「住宅ローンの借入金利が上がる」など、利上げ後の家計の影響について取り上げています。しかしながら、金融政策はマクロ経済政策なので、私たちの生活実感とは少し異なります。私たちの生活はどちらかというとミクロ的な視点であるため、混同してしまうと判断を見誤るかもしれません。 日銀が注目しているのは、物価です。物価の水準が、おおむね2.0%程度で落ち着いていることを重視しています。 物価を安定的に推移させることが日銀の役割であるため、これを達成できていることから、今後、緩やかに景気が回復していくだろうと考えています。「たとえ実質GDP成長率が依然として低い水準であったとしても、政府が賃上げや生産性向上などのミクロ経済政策を着実に実施していけば、いずれ景気は回復していくだろう」と見立てているのかもしれません。 日銀は将来を見通します。一方、私たち生活者は今を気にします。つまり、視点のずれが生じているわけですが、金融政策を見るときは日銀サイドに合わせながら考える必要があります。