トヨタの進化型「GRヤリス」をサーキットで徹底試乗!その技術は次世代GRカローラにも搭載されるのか?
進化型GRヤリスはGRカローラよりも車両重量が190kg軽い(1280kg)が、ファイナルギヤのギヤ比率を若干小さくすることで加速特性を最適化した。加えて、トヨタが「GR-FOUR」と呼ぶ高応答電子制御カップリング(前後トルク配分を決める電子制御多板クラッチ)は後輪デフの減速比を前輪よりも高める(≒たくさんまわす)ことで回転差を生み出しているが、ここは従来型GRヤリス時代と同じくGRカローラとも同じ値のまま。
肝心の乗り味にも変化があった。今回の改良ではボディ剛性をさらに高め、同時に前後のバネ/ダンパー特性を変更しつつ、ダンパーとボディの締結ボルトを3本に増やして強固にした。こうした数々の改良により車両挙動は若干ながら安定方向になった。 また4WDモードセレクトの前後駆動力配分を見直したことで、ある領域から車体の向きがスパッと変わる従来型の過度な特性がマイルドになった。これも大きな違いだ。 操作系にも見直しが入った。ドライビングポジションを25mm低めてルームミラーの位置をフロントガラス上部へ移動。さらにセンタークラスターの上端を50mm下げた。これにより前方視界が大きく拡大し運転しやすくなった。
最後に新たに導入されたRZ“High performance”のDAT(533万円)に乗り換える。クロスレシオ化された8速のうち1~6速のトータルギヤ比は6速MTに近づけながら、7~8速を巡航ギヤに位置付けた。 変速の速度を早めることを目的に開発されただけあって、Dレンジ&ドライブモード「スポーツ」を選択すると、変速時間は0.3秒と謳い文句どおりとても素早い。ちなみに6速MTをプロドライバーが変速させると0.6秒以上かかるという(数値はいずれもトヨタ調べ)。
Dレンジ&ドライブモードで「スポーツ」を選択した場合には、ブレーキペダルを踏み込むだけでパドルシフターなどの操作をすることなく、必要なギヤ段までのシフトダウンをブリッピングを伴いながら行う機能がある。ドライバーのブレーキ踏力や踏み込み速度によってシフトダウンを判断するとのことで、たとえば、富士スピードウェイの1コーナーでは、適切なブレーキペダルの踏み込みにより6速から3速までのシフトダウンを自動で行えるようだ。