トヨタの進化型「GRヤリス」をサーキットで徹底試乗!その技術は次世代GRカローラにも搭載されるのか?
■サーキットで従来型と進化型のGRヤリスに試乗 今回は、進化型第1章ともいうべきGRヤリス(8速DATと6速MT)に雨のサーキットで試乗。比較用として従来型GRヤリスの6速MTモデルが用意されていた。 サーキット試乗で雨天とは条件が悪そうだが、雨の試乗も嫌いじゃない。しかも試乗当日の外気温は+1度と、いまにも雪に変わりそうな寒さだ。わかりやすく滑りやすい路面だが、車両の限界特性を低い車速域から安全に確認できる絶好のチャンスでもある。
まずは従来型の6速MT(456万円)に乗りコースイン。すでに様々な路面や道路状況で従来型には試乗してきたが、一体感の高いハンドリング性能や加減速性能はやはり心地よい。一方、滑りやすい路面で前荷重を行い、左右に大きくステアリングを切り込みアクセルペダルを踏み込んでいくと、そのままクルッと後輪が滑り出してしまうような力強い旋回力を感じる。よって強い加減速を行った際や、大きく切り込んだステアリング操舵後のアクセルワークには慎重さが求められる。
続いて進化型のRZ“High performance”6速MT(498万円)に乗り換える。違いは走り出す前、アイドリング時のエンジン音から感じた。それもそのはず、搭載エンジンは直列3気筒1.6Lターボエンジン「G16E-GTS」で、従来型とエンジン型式は同じながら大きく手が加えられている。 高燃圧への対応、軽量ピストンの採用、同弁系の強化、エンジンオイルクーラーの多段化、クーリングファンの高出力化などが改良の主なメニューだ。この改良型エンジンは市販モデルとしてGRカローラに先行搭載されていたものと基本は同一だが、GRヤリスではトルク特性が異なりGRカローラよりも最大値が大きい。
■最高出力304PSとなったエンジン 具体的に数字で比較する。従来型の最高出力が200kW(272PS)/6500回転、最大トルクは370N・m(37.7kgf・m)/3000~4600回転であったのに対し、新型の最高出力は224kW(304PS)/6500回転、最大トルクは400N・m(40.8kgf・m)/3250~4600回転となり、出力/トルクともに大きく向上。ちなみにGRカローラとはトルク値のみ異なり370N・m(37.7kgf・m)/3000~5550回転と最大値が低く、発生回転領域が広い。