天気予報からわかる「景気の行方」とは?「2024年の雨期」を振り返る【解説:エコノミスト・宅森昭吉氏】
「梅雨の長さ」と景気局面
次に、梅雨入りと組み合わせて見てみよう。「梅雨入りが遅く、梅雨明けが早い」、結果的に梅雨の期間が短かった年は19回あった。そのうち、拡張局面になった年は15回、後退局面になった年は4回である。拡張局面であった割合は79%、後退局面であった割合は21%と、平均よりも景気拡張局面になる割合が高くなる。梅雨の時期が短いと、景気面で足枷になることが少ないと考えられる。 2024年も梅雨入りは14日遅く、梅雨明けは1日早かった。短い梅雨は景気にとってプラスに働くと考えられ、2024年の梅雨の時期は景気拡張局面だった可能性が大きいと思われる。 一方、梅雨明けが遅い年は35回あった。そのうち、拡張局面になった年は20回、後退局面になった年は15回である。拡張局面であった割合は57%、後退局面であった割合は43%となった。平均よりも景気拡張局面になる割合が低い傾向がある。 梅雨入りと組み合わせてみると、「梅雨入りが遅く、梅雨明けが遅い年」は20回あった。そのうち、拡張局面になった年は14回、後退局面になった年は6回だった。拡張局面であった割合は70%、後退局面であった割合は30%である。平均よりも景気拡張局面になる割合が3ポイントとわずかに高い傾向がある。これは、梅雨入りが遅いため、梅雨の期間が短い年も含まれているからだと思われる。 逆に「梅雨入りが早く、梅雨明けが遅い」、つまり梅雨の期間が明らかに長かった年は12回あった。そのうち、拡張局面になった年は7回、後退局面になった年は5回である。拡張局面であった割合は58%、後退局面であった割合は42%となった。平均よりも景気拡張局面になる確率がかなり低くなる傾向がある。 梅雨の期間が長いことは、景気にマイナスに作用する要素である可能性がありそうだ。 宅森 昭吉 景気探検家・エコノミスト ESPフォーキャスト調査委員会 委員 ほか
宅森 昭吉