被爆2世訴訟、13日に控訴審判決 放射線の遺伝的影響など争点 広島高裁
被爆者を親に持つ被爆2世への援護措置を怠っているのは違憲として、広島への原爆投下で親が被爆した広島、山口県などの2世27人が国に1人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が13日、広島高裁で言い渡される。放射線の遺伝的影響と2世に対する援護の在り方について、司法がどう判断するかが焦点となる。 昨年2月の広島地裁判決は、放射線の遺伝的影響による健康被害について「可能性が明確に否定されているとはいえないものの、有力な見解として認識されていない」などと指摘。被爆者と同等の措置を講じていない国の対応を「違憲とは認められない」として原告の訴えを退けた。 控訴審は昨年10月から3回の口頭弁論があった。原告側は「動物実験による遺伝的影響についての科学的知見が無視されている」と地裁判決を批判。専門家の見解や放射線影響研究所(放影研、広島市南区)が2世のゲノム解析の準備をしている点も踏まえて「健康被害の可能性がある」とし、遺伝的影響の可能性がある以上、被爆者援護法の適用対象にするべきだと主張した。 これに対し、国側は原告が示す研究などは「親の放射線被曝(ひばく)により2世の健康に影響が生じることの科学的根拠とはならない」と反論。2世を援護対象としていないことを「差別的取り扱いとはいえない」とし控訴棄却を求めた。 原告27人は50~70代。広島市中区で5日にあった原告側の集会で、占部正弘さん(66)=福山市=は「親戚の反対を突っぱねて母親は自分を産んでくれた。これまでにさまざまな差別、健康不安を抱えてきた」と訴えた。弁護団長の在間秀和弁護士は、日本被団協のノーベル平和賞受賞にも触れ「核兵器の恐ろしさに目を向け、真摯(しんし)に向き合った判決を期待したい」と話した。 2世は30万~50万人いるとされる。2世を巡る同種訴訟では、長崎地裁が22年12月に原告側の訴えを退けた。福岡高裁は今年2月、「放射線の遺伝的影響は証明されていない」などとして原告側の控訴を棄却。原告側は最高裁に上告している。
中国新聞社