「特定空き家」を初認定 龍郷町、行政代執行で解体可能に 問題解決へ抜本的対策推進
適正な空き家の管理などを協議する鹿児島県龍郷町の空き家等対策協議会2024年度第1回会合が18日、同町役場であった。23年度の事業内容や町内に立地する空き家の現状を報告し、倒壊などの危険がある「特定空き家」1件と長年放置されている管理不全空き家21件を同町で初めて認定。これにより行政は対象となる空き家の所有者らへの指導や勧告、解体の代執行などが可能となる。町は認定を機に、空き家問題の解決に向けた抜本的な対策を進めたい考えだ。 協議会は20年度から実施し3回目。官民の委員と企画観光課をはじめとする関係課の職員など約20人が出席した。会長の則敏光副町長は「空き家対策は重要性を認識しながらもなかなか進んでいないのが龍郷町の現状。皆さんの忌憚(きたん)のないご意見をいただきたい」とあいさつした。 会合では町が実施する移住定住・空き家対策補助事業の23年度実績を報告。空き家活用を目的とする住宅リフォーム支援は9件、危険空き家の解体支援は3件だった。 現状について、町が把握する空き家は191件。このうち半数以上の103件が円、嘉渡、秋名・幾里の荒波地区に集中している。所有者不明の空き家は約40件に上るという。 町では今後、国が定める「空き家等対策の推進に関する特別措置法」や町の条例に基づき、認定された空き家の所有者などに助言や指導を行う。特定空き家は、行政が解体を行い費用を所有者らに請求する「行政代執行」も可能となる。 今回特定空き家に認定されたのは、幾里集落の町道沿いにある鉄筋平屋。外壁が道路側に倒れトタンが飛散する恐れがあり、民家にも隣接していることから、懸念の声が上がっていたという。土地の所有者はすでに他界し建物には登記がないため、町は占有者を含む所有者調査や親族らの相続放棄の有無などを確認する。
南海日日新聞社