復活したジュネーブ・モーターショーでピニンファリーナが2+2のミドシップ・スポーツを披露
デザイン・スタディの「エニグマGT」を発表
イタリアのカロッツェリアで自動車の設計や製造も手掛けるピニンファリーナは、2024年2月に開催されたジュネーブ・モーターショー2024で、デザイン・スタディの「Enigma GT」(エニグマGT)を披露した。スポーティで特徴的なデザインを持つクーペ・スタイルのボディは2+2のシート・レイアウトと後方にエンジンを配置するミドシップを成立させている。 【写真91枚】イタリアの名カロッツェリア、ピニンファリーナが水素エンジンを用いたコンセプトカー、「エニグマGT」のキャノピーがせり上がる特徴的なエクステリアをはじめ詳細画像をチェック ◆水素エンジンをミドシップに搭載 水素エンジンで後輪を駆動し、モーターが前輪を駆動する4WDの水素エンジン・ハイブリッド車で、ミドシップ化によりフロントの前面投影面積を抑制。アクティブ・エアロダイナミック・パーツの採用に加え、アンダー・ボディまで入念に作り込むことで、優れた空力性能を実現しているという。 ◆エモーショナルなエクステリア エクステリアはピニンファリーナらしいエモーショナルな仕上がりだ。ダイナミックなシルエットと自然光を取り込むことで明るさをもたらすガラス張りのキャビンが目を惹く。 ウィンド・スクリーンはシームレスでパノラマのような視界をもたらすとともに、包まれ感も抱かせるという。ブラックのフロント・スポイラーがワイド感を強調している。グリルレスに加えて、ヘッドライトの代わりにセンター・ライト・バーを採用している。 ◆優れた空力性能を実現 先述したように、「2+2」というキャビンでありながらミドシップ・エンジン・レイアウトを成立させているのがトピックスだが、エンジンをボディの前方から排除することでフロント・エンドの空力性能向上を最適させた。空気抵抗を最も抑えたセッティングでは空気抵抗係数(Cd値)0.24を達成しながら十分なダウンフォースを得ることができるという。 また、デルタウィングとディフューザーの位置を変更することでパフォーマンス重視から高効率モードに切り替えることが可能。「アクティブ・ベース・ブリーディング・システム」の採用により、車両下の圧力を高め、発生する空力抵抗を低減している。 リアまわりでは、リニア・テールランプをアクチュエーター付き(作動式)ウイングに組み込み、フロント同様にミニマルなデザインを実現している。このリニア・テールランプは気流を整え、リア・エンジンの冷却も担っている。また、フライング・バットレス(飛梁)や空力を重視したルーフラインなども目を惹く。 ◆キャノピーがせり上がる エニグマGTはダッシュボードと一緒に持ち上がるユニークなキャノピー(天蓋)を採用している。乗車時にはキャノピーが持ち上がり、ドライバーを広々したキャビンが迎えてくれる。このオープン時の仕掛けは「アバルト2000クーペ・ピニンファリーナ」、「フェラーリ・モデューロ」、「フェラーリ512Sベルリネッタ・スペチアーレ」、「マセラティ・バードケージ75th」、「テオレマ」など、これまでピニンファリーナが手掛けたモデルからインスパイアされたという。 インパネの見どころは左右を貫く横長の透明なガラス製ディスプレイとF1マシンのようなスクエアなステアリングだ。航空工学に着想を得たというダッシュボードにはエアフローが採用され、通気性が確保されている。コンセプト・カーらしい未来的かつフロント・シートはスポーティな雰囲気も醸し出し、リア・シートはトリムと一体化したような造形になっている。 ◆シックARウィンド・スクリーンを採用 ユーザーインターフェースとしてARウィンド・スクリーンが採用され、直感的な操作と没入感のある体験をもたらす。また、インパネの透明なガラス・ディスプレイはドライバーの集中力を注がずに乗員は魅力的なコンテンツを楽しむことが可能になっている。タッチディスプレイを備えたスクエアな多機能ステアリング・ホイールは車両設定やエンタテインメント、通信機能などのカスタマイズできる。 ロングドライブ時に重宝する自動運転モードではシステムがドライバーから運転を引き継ぎ、乗員とくつろぐことも想定されている。 文=塚田勝弘 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部